高根沢物語

県都宇都宮に隣接し、先端企業や自動車関連企業が町に勢いをもたらす。平野部と丘陵部の特性を生かした農業は主食から園芸作物まで幅広い。
憩いの場の温泉施設も充実、健康な暮らしの源となる。農工商一体となって「手間、暇かけて」のまちづくりを実践する。

見る

 ①鬼怒グリーンパークの花畑は、春は黄色い菜の花、秋は赤やピンクなどのコスモスで一面が埋め尽くされて壮観。鬼怒川につながるボート池の水路はウグイなどの川魚が自然な状態で観察できる。ポピーやヒマワリなどの花畑も町内各所で見られる。宮内庁直轄の御料牧場は広大な牧草地などが醸し出す牧歌的風景で栃木景勝百選にも選ばれたことも。一般開放はしていないが、南北に走る構内通路は通行できる。②安住神社は、1754(宝暦4)年ごろの建造で県指定文化財。鳥居は関東一の大きさを誇る。一対の金箔ブロンズの狛犬は長崎平和祈念像などの作品で知られる日本芸術界の重鎮の故北村西望の作品。おだきさんは南部の田園地帯に唯一の湧き水で住民の手で守られてきた。町文化財で国の疎水百選にも選ばれた池には伝説が残る。③ちょっ蔵広場内にあるちょっ蔵ホールでは、連日アマチュアバンドの練習会場で賑わっている。冬季のイルミネーションは幻想的。

鬼怒グリーンパークの花畑

鬼怒グリーンパークの花畑

安住神社

安住神社

ちょっ蔵広場

ちょっ蔵広場

学ぶ

 ①町歴史民俗資料館は、貴重な文化遺産を後世に伝え、保存・公開するとともに、生涯学習の場。敷地全体を明治時代の豪農の屋敷に見立てる。展示・資料館としての蔵と収蔵庫としての長屋門、そしてそれ自体が展示物の本屋の3棟があり、農家住宅の様相を伝える。展示では、町内で発見された約250の遺跡のうちの主な40遺跡を紹介、復元住居や図解とともに出土した土師器、須恵器の壷や甕などが並ぶ。ほかに代々伝わる祭りや行事などの様子や町を代表する画家の加藤春峰、笹沼寛祐の作品を展示する。②宇津救命丸史料館は乳幼児の医薬品で知られる宇津救命丸の歴史や製造工程を紹介する。宇津救命丸は1597(慶長2)年に 初代宇津権右衛門が町内で秘薬(救命丸)を製造したのが始まり。現在も高根沢工場がある。見学には予約が必要。大安寺の奈良時代末期作の十一面観音菩薩像や浄蓮寺の③地蔵菩薩半跏像は町指定文化財で一見の価値がある。

町歴史民俗資料館

町歴史民俗資料館

宇津救命丸史料館

宇津救命丸史料館

地蔵菩薩半跏像

地蔵菩薩半跏像

 県のほぼ中央で、県都宇都宮の東に隣接し東京から100キロ余。西部を国道4号とJR宇都宮線が縦断、首都圏と結ぶ。さらにJR烏山線が横断、県道宇都宮烏山線などの県道が縦横に走り、町内を密接につなぐ。人口は30000人強で町としては県内3番目。町中央には広大な水田地帯が広がり、町の文化・スポーツの総合施設

たんたん田んぼの高根沢町

たんたん田んぼの高根沢町

の町民広場がある。西は宝積寺駅を中心に、商店街や住宅地で鬼怒川をはさんで宇都宮市。南には日本のシリコンバレーと称される「情報の森とちぎ」が立地し、最先端企業や本田技研工業などの有力企業が並ぶ。東は八溝山系の丘陵が南北に連なり、町の地域振興の核の元気あっぷむらが多くの人を集めてにぎわう。

遊ぶ

 地域振興の拠点の①元気あっぷむらのメインは温泉。地下1600メートルから湧出する温泉は約70度の高温と毎分360リットルの湯量を誇り、体に優しいナトリウム塩化物温泉。露天風呂や大浴場、水湯、サウナ、薬湯と盛りだくさん。施設内にはレストラン、コテージ、農産物直売所、豆腐加工販売所などがあり、豆腐造りや炭焼き体験などもできる。また東洋医学に基づいた1周111メートルの素足健康ロードは健康づくりに効果的。鬼怒グリーンパークは②水上アスレチックやボート池、ローラースケート場、テニスコート、レンタル自転車などがあり、家族連れに人気。都市住民と地域住民の交流を図るイベントも多い。田んぼのまわりにどんな生物がいるかを調べる③生き物調査や子どもの体重より大きく成長するかぼちゃの重さを競うジャンボかぼちゃコンテストなど次々と新しいものが誕生している。

元気あっぷむら

元気あっぷむら

水上アスレチック

水上アスレチック

生き物調査

生き物調査

食べる

 町は新鮮な野菜や、熟すまで栽培された果樹などを消費者に直接買ってもらう農産物直売指定事業を進めている。米やトマトやナス、シイタケ、季節の野菜農家など40軒ほどが「のうさん物直売屋」の看板を掲げる。生産品は地元産の食材にこだわる農家レストランと地産地消推進店で味わえる。
 作り手の分かる農作物は好評でたんたんプラザ光陽台や元気あっぷむらなどの①農産物直売所では行列ができることもあるほどの人気ぶり。丘陵部を中心とした観光農園では②ナシやリンゴ、ブドウ、イチゴ、ブルーベリーなどのほか、果汁ジュースやジャム、ジェラートも生産されてリピーターを集める。
 元気あっぷむらの豆腐加工販売所「雪花菜(きらず)」では、地元産の大豆と天然にがりを使った甘みとコクがある③豆腐が味わえる。女性起業家グループ「元気あっぷまめまめくらぶ」が運営を担っている。

農産物直売所

農産物直売所

ナシ

ナシ

豆腐

豆腐

ふるさと散歩

【伝説】おだきさん
 高根沢町上高根沢地区の主要地方道宇都宮向田線から入った水田地帯に、悲話が伝わる湧水「おだきさん」がある。
 この地方の庄屋の家に奉公していた美しい娘おだきは、働き者で庄屋はじめ周りの人たちにもかわいがられていた。庄屋には息子があり、おだきは秘かな思いを寄せていた。やがて息子に隣村の庄屋

悲しい物語が伝わる湧水「おだきさん」

悲しい物語が伝わる湧水
「おだきさん」

の娘との縁談が持ち上がり、おだきは苦しむ。華やかな婚礼の日、屋敷を抜け出したおだきは沼に身を投げて果てた。哀れんだ村人たちはこの沼を「おだきさん」と呼ぶようになったという。
 五行川の田園地帯に残る唯一の湧水池となったおだきさんは、今でも周囲の水田を潤している。

わが街自慢の逸品

金魚草
 花卉栽培の盛んな町内で急成長。中心は風車が目印のグリーンハウス田代でオランダ村ともいう。カーネーションを30年余生産していたが、輸入品増に対応して金魚草を導入した。コンピューターによる全自動のハウス栽培に力を注いで、今では傑作22品種を生産、村内の店舗のほか町内の直売所でも販売している。

金魚草

高根沢ものしり百科

●たかねざわ歳時記
4月 さくらまつり(元気あっぷむら)
7月 なまなまぬるぬるなまず祭り
10月下旬 コスモス祭り
●安住神社の大鏡餅
 12月30日には、奉納されて話題になる。8俵のもち米を使い500キロの重さ。重ねるのにフォークリフトを使う。節分に参詣した人に縁起物として配られる。

安住神社の大鏡餅

安住神社の大鏡餅

●情報の森とちぎ
 職・住・遊・悠の接近による新しいワークスタイルの確立と創造性を高めるソフトウェア開発環境の実現をめざす。現在、コンピュータソフト開発や自動車等の制御システム開発企業などが進出している。
●キリンビール栃木工場
 町のシンボル的工場だったが2010(平成22)年に同社の構造改革で閉鎖、31年の歴史に幕。体育館などが町に寄贈された。


このページの先頭へ

わが街を誇る。語る。育む