鹿沼物語

鹿沼市は花と緑と清流、豊かな自然に恵まれる。全国一の生産量のさつきに日光東照宮ゆかりの匠の技術を受け継ぐ木工のまち。彫刻屋台が引き回される「鹿沼ぶっつけ秋祭り」は祭りの目玉。地場産品の普及と開発で「地産地消」を推進する。伝統と新たなエネルギーが融合して活力に溢れる。

見る

 鹿沼市には伝統文化や歴史的遺産が多く息づく。その一つが①屋台のまち中央公園。江戸時代に造られた豪華な彫刻屋台3台が常設展示され、大型画面のTVが秋祭りや、屋台の歴史を紹介する。隣接地に復元された掬翠園は紅葉時期にはライトアップされ、魅力を増す。大芦川沿いの山間部に鎮座する②古峯神社のご祭神は日本武尊。開運、火防、五穀豊穣、海上守護などの神として古くから人々の信仰を集め、大天狗の面も有名。庭園の古峯園は四季それぞれに味わいがある。加蘇山神社は杉木立が影を落とし樹齢800年を超す大杉は圧巻。絢爛な彫刻の唐門が印象深い東高野山医王寺。境内には金堂、大師堂など壮大な建造物が立ち並ぶ。粟野城跡地に造られた③城山公園は、散策コースや全長115メートルの城山スカイローラーが子供に人気。園内の約2万株のツツジは4月下旬-5月上旬にかけてが見ごろ。

屋台のまち中央公園

屋台のまち中央公園

古峯神社

古峯神社

城山公園

城山公園

学ぶ

 深岩石造りの①鹿沼市文化活動交流館。郷土の歴史資料や文化財の展示、ギャラリー、創作工房などを併せ持つ複合施設で美術、工芸などの作品作りも楽しめる。黒川のほとりに建つ明治の洋館風の建物は②川上澄生美術館 。川上は大正から昭和にかけて活躍した木版画家。美術館は市出身で川上の教え子でコレクターでもあった長谷川勝三郎氏の所有する川上コレクション約2000点の提供を受け、1992(平成4)年に開館。代表作は棟方志功が版画家を目指すきっかけとなった女性と恋する男性の心情の詩が書き込まれた「初夏の風」。木のまち鹿沼をアピールする施設が③木のふるさと伝統工芸館。展示室には彫刻屋台、組子書院障子、総桐箪笥、箒、鳥籠など鹿沼の匠の伝統工芸が詰まっている。毎年秋には市民の木の作品を集めた「かぬまウッドコレクション」を開催。児童文学に関心があれば千葉省三記念館へ。千葉は鹿沼を舞台にした作品を多く残している。

鹿沼市文化活動交流館

鹿沼市文化活動交流館

川上澄生美術館

川上澄生美術館

木のふるさと伝統工芸館

木のふるさと伝統工芸館

 2006(平成18)年に粟野町と合併して人口が10万人の大台に乗った。東京から100キロ圏内の位置の優位性を生かした首都圏農業に林業、木工業を産業の核に発展している。県央西部にあって東北自動車道鹿沼インターを持ち、
近接して北関東自動車道も走る。国道293号や352号に県道も整備され、工業や

勇壮な鹿沼ぶっつけ秋祭り

勇壮な鹿沼ぶっつけ秋祭り

流通を盛んにしている。西北部は深い緑と山々、思川の数多い清流が魅力的な景観を見せる前日光自然公園を形成している。鹿沼インター付近は工業団地を中心に開発が進む。首都圏に近く、恵まれた自然を背景に「いつまでも住んでいたいまち」「住みたいまち」としての発展を目指している。

遊ぶ

 春から夏の花の最盛期には山や公園は錦に染まり、イベント会場は花を求める人々でにぎわう。①千手山公園は約300本の桜と1000本を超えるツツジが4月上旬-5月上旬にかけてピンクや白、紅色の花をつける。観覧車やおとぎ電車などの遊具を備え、家族連れでにぎわう。毎年5月の最終土曜日から始まる②鹿沼さつき祭りの会場の一つが鹿沼市花木センター。本場だけに約500種のさつきはファンを魅了する。初日には黒川河川敷で花火が打ち上がる。初夏の横根高原周遊コースには「小尾瀬」と呼ばれ、動植物の宝庫で知られる③井戸湿原がある。5月下旬-6月上旬にかけてシロヤシオやヤマツツジが彩る。横根山頂から日光連山を見て花々を楽しむ3、4時間のコース。出会いの森オートキャンプ場は大芦川と荒井川の合流点にあり、川と山遊びで自然を満喫。板荷の自然体験交流センターは自然の中で経験を深める体験型学習施設。

千手山公園

千手山公園

鹿沼さつき祭り

鹿沼さつき祭り

井戸湿原

井戸湿原

食べる

 多彩な食文化に恵まれる。山間地で育つソバの収穫量は県内一で市内随所に味自慢のそば店が点在する。「関東一のそばの郷」を目指し、そば店などが「鹿沼そば振興会」を作り、消費拡大やPRを展開する。同振興会の面々が力を入れているのが地元の特産を生かした①にらそばで、テレビなどで話題を集めた。ニラの食感と風味がそばに合う。そばの花蜂蜜もつくられている。②かぬま和牛も売り出し中。料理店と精肉店が「焼肉のまちかぬま協賛会」を立ち上げ、毎月29日を「かぬま29(にく)の日和牛の日」と決め、高品質なかぬま和牛を割安で提供。江戸時代から栽培されている③鹿沼こんにゃくは、おでんはもちろん、刺身にしてもおいしい。郷土の銘菓も豊富。小豆を求肥で包んで焼いた焼きんとん。鹿沼産のはとむぎを使った焼酎の美たまるをしみ込ませた美たまるかすてら。彫刻屋台をかたどった「屋台最中」は控えめな甘さが好評。地元でとれたイチゴを使ったいちご大福。特産のはと麦粉を配合したはとむぎサブレも試してみたい。

にらそば

にらそば

かぬま和牛

かぬま和牛

鹿沼こんにゃく

鹿沼こんにゃく

ふるさと散歩

【新名所】まちの駅 新・鹿沼宿
 鹿沼市仲町の旧ジャスコ・あさひ銀行跡地に観光交流の拠点施設として「まちの駅 新・鹿沼宿」がオープンした。
 本館では観光情報を一堂に集め、〝鹿沼の旬〟を発信する。鹿沼そば「大越路」では人気の名物「にらそば」などが食べられるほか、くつろげる軽喫茶コーナーもある。 

鹿沼市の観光情報や物産品が手に入る「まちの駅 新・鹿沼宿」

鹿沼市の観光情報や物産品が手に入る「まちの駅 新・鹿沼宿」

物産館ではJAかみつがの取れたてで新鮮、安全安心な地元農産物を販売している。「かぬまブランド」などの特産品も並び、ここに来れば鹿沼のお土産品が何でもそろう。

わが街自慢の逸品

鹿沼組子書院障子
 組子の技術は欄間や書院障子などに使われている。細かく削った木片を釘や接着剤を使わずに複雑な模様に組み上げた書院障子は、和室を飾る最高家具。日光東照宮造営にかかわった職人の一部が鹿沼に住みつき技が伝えられたという。組子細工は何世代にもわたって現代に引き継がれた木工のまち鹿沼の技術の結晶。

鹿沼組子書院障子

鹿沼ものしり百科

●かぬま歳時記
4月上旬~中旬 千手山公園さくら祭り
4月中旬~5月上旬 城山公園つつじまつり
5月最終土曜日~10日間 鹿沼さつき祭り
9月19日以降の最初の日曜 泣き相撲
10月第2土・日 鹿沼ぶっつけ秋祭り

鹿沼ぶっつけ秋祭りの彫刻屋台

鹿沼ぶっつけ秋祭りの彫刻屋台

●鹿沼ぶっつけ秋祭り
 豪壮な彫刻屋台が今宮神社境内に繰り込み、お囃子を奉納する。屋台が向かい合い、お囃子を競う「ぶっつけ」が見もの。国の重要無形民俗文化財に指定されている。
●かぬまブランド
 地元の優れた特産品をかぬまブランドとして認定し、広くPRする。さつきやイチゴ、かぬま和牛、鹿沼こんにゃく、総桐箪笥、きびがら細工など。


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