鹿沼市長インタビュー 佐藤 信市 市長

首都圏のふるさとに

鹿沼市は豊かな自然と農産物に恵まれている。鉄道や高速道路などのアクセスもよく、地の利を活かしたまちづくりに取り組む。首都圏の人たちが少し足を伸ばして、地元の人たちとの交流を楽しむ拠点として「まちの駅 新・鹿沼宿」がオープンした。

花と緑と清流のまち農産物も豊富
■鹿沼を紹介していただくとするとどんなところでしょうか。
佐藤信市市長

佐藤信市市長

 栃木県の県央地域の一角を占め、農、商、工のバランスが取れた都市です。市の7割が山林で緑豊かな地域であり、鉄道はJR日光線、東武日光線が走っています。東北自動車道の鹿沼ICもあり、北関東自動車道とのアクセスも良く、首都圏からも至近距離にあります。市の花サツキは全国的にも有名で、市内を清流が貫き、まさに「花と緑と清流のまち」のキャッチフレーズにぴったりのまちだと思っています。

■特に自慢したいところを挙げてください。

 豊かな自然の風景、ふるさとの原型を残すまちだと思っています。その中で生産されるイチゴ、トマト、ニラ、ナシなど、豊富な農産物の首都圏の供給基地になっています。さらに、鹿沼土や森林地帯を背景に、木の匠の技を活かした春のさつき祭り、秋の彫刻屋台の秋祭りなどが挙げられます。
 全国でも珍しい麻の産地として脚光を浴びているほか、昔からある鹿沼こんにゃくや、ガッツ石松さんがPRしてくれたおかげで、にらそばも人気が出てきましたね。
 最近の話題としては、鹿沼市出身の作家である柳田邦男さんの奥様で絵本作家のいせひでこさんが、鹿沼の秋祭りを題材にした「まつり」という絵本を出版されました。いせさんはフランスを舞台にした著作も多いことから、今回もフランス語の本が同時に発行され、世界の方々に鹿沼の秋祭りを知ってもらう絶好の機会になりました。

首都圏の人たちに安らぎを提供
■現在、特に力を入れている施策を教えてください

 交流人口の増加を大きな狙いにしています。大観光地にはなりえませんから、首都圏の皆さんに、ふらりと田舎に帰るというような安らぎの場として目を向けてもらえればと思います。
 鹿沼の「まちの駅」は全国でも最多を数え、おもてなしの心もかなり浸透しています。こうした〝人の利〟も活かしつつ、交流人口を増やしていきたいですね。それらの延長線上で、首都圏の若い皆さんがサークル活動や合宿に使ってくれるようなまちづくりができればと思います。粟野地区には広い運動公園もあってスポーツをするには最適です。

まちの駅の中核施設「新・鹿沼宿」オープン
■将来的な展望はいかがですか。
鹿沼市庁舎

鹿沼市庁舎

 第5次総合計画の前半が平成23年度で終わります。人口の動態が大きく変わりましたので、それらに合わせて第6次総合計画を策定しています。
 柱は「交流のまちづくり」です。長年の懸案だったジャスコ跡地に、まちの駅の中核施設として「新・鹿沼宿」が4月29日にオープンしました。木を使いながら広場、駐車場、農産物直売所、物産品販売、観光案内などを設けましたが、トイレがきれいかどうかは来訪者の心象に大きく影響を与えますので、トイレの整備には力を入れました。ここを拠点に、花木センターや彫刻屋台展示施設などを巡回して見てもらうようなまちを目指して整備いたしました。
 また、住民参加、市民との協働という視点で、公募委員による自治基本条例づくりを行っており、非常に活発な議論がされています。この条例は市民の皆さんと役割分担をして力を出し合っていく上での憲法のようなものです。

人を育てる「お祭り」を大切に
■栃木県の活性化に鹿沼市が果たせる役割は?

 新しく施設をつくるというよりも、今あるものをしっかり活用して、ソフト面を充実させていくことが大切だと思います。都市との交流を基本に、そのための施設の整備や利便性の向上を図ります。首都圏との交流が盛んになれば活気も出てきます。
 これから大きく伸ばしたいものは「お祭り」です。祭りは何よりも人を育てる側面があります。さまざまな世代が関わり、先輩の姿を見ながら取り組む。こうした関係は現代では得がたいものがあるので、その意味でも支援していきたいですね。また市民の安全安心に関する医療福祉面の充実は、当然やっていかなければなりません。

■将来的な展望はいかがですか。

 幸いに工業団地は、昭和40年代に動きだしてから出入りは少なく、大きい企業は堅実に経営されていると思います。中小零細については、従来の方法にとどまっていると厳しいので、首都圏の展示会への出展支援などに力を入れています。そこから刺激を受け、新しい取引も生まれているようです。
 農産物は一定の産地としての評価はしっかりしています。これを大切にしながら品質の均一化にも努めたいと思っています。


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