大田原物語

平成の大合併で新生大田原市が誕生した。清流那珂川と八溝山系で育まれた那須野が原の扇状地は、豊かな水と緑に恵まれ、古代から着実に発展し
てきた。新市は合併参加の市町村が培ってきた歴史や文化、経済などを推進力にして未来に力強く羽ばたく。

見る

 冬には羽田沼や琵琶池にハクチョウが飛来する。北金丸のザゼンソウの群生地は春の訪れを告げる。桜の名所は龍城公園、黒羽城址公園など多く、
光丸山法輪寺の推定樹齢800のシダレザクラや磯上の山桜は名木。富士ぼたん園はボタンが山の斜面を埋め尽くし、大雄寺では境内を彩る。アジサイは①黒羽城址公園に6000株が咲く。ユリ園やミズバショウ栽培地も。禅宗の日本四大道場の1つの②雲巌寺は、武茂川を渡る朱塗りの橋と山門のたたずまいが絵のよう。道場とあって俗化とは無縁な張りつめた世界を味わえる。源平屋島の戦いで扇の的を射抜いた那須与一が太刀を奉納したといわれる那須神社。1639(寛永19)年建立の楼門は華麗。866(貞観8)年に慈覚大師が開基したとされる光丸山法輪寺には顔の長さ2.1メートルの木製では日本一の③天狗の面がある。江戸時代に人々の安全を祈願して建てられたのが金灯籠。市中心部に復元されている。

黒羽城址公園

黒羽城址公園

雲巌寺

雲巌寺

天狗の面

天狗の面

学ぶ

 国道294号沿いの①下侍塚古墳は全長84メートルの美しい形の前方後方墳。1692(元禄5)年に水戸藩主徳川光圀の命で日本初の学術的発掘調査がされた。笠石神社の②那須国造碑(なすのくにのみやつこのひ)は高さ1.2メートルで日本三古碑の1つで国宝。当時の国造の功績などを顕彰した碑文には中国の元号などが書かれていて貴重。なす風土記の丘資料館湯津上館と歴史民俗資料館に碑のレプリカや古文書などがある。玄性寺の那須家墓群に那須与一宗隆の墓碑があり、9月には墓前供養が行われる。道の駅那須与一の郷の那須与一伝承館では映像とからくり人形が与一の活躍を伝える。俳聖松尾芭蕉が「おくのほそ道」の道中に立ち寄った黒羽には、芭蕉ゆかりの史跡や施設がある。黒羽芭蕉の館は芭蕉に関する資料と、黒羽藩主大関家の資料を常設展示する。前庭には弟子の曾良を従えた③芭蕉の旅姿の銅像がある。地区には10カ所に芭蕉の句碑があり、句碑巡りも楽しい。

下侍塚古墳

下侍塚古墳

那須国造碑

那須国造碑

芭蕉の旅姿の銅像

芭蕉の旅姿の銅像

 2005年(平成17)年10月に大田原市と湯津上村、黒羽町と合併、新しい大田原市が誕生した。人口規模で県内10番目。県や国の出先機関も多く県北部の行政と経済、文化の拠点地域となっている。アユの漁獲量日本一の清流那珂川と箒川を境に右岸の中・西部は那須野が原の平野部、左岸は東部の八溝山系の山間

羽田沼のオオハクチョウ

羽田沼のオオハクチョウ

部に大別される。大田原地区は、源平屋島の合戦で活躍した弓の名手那須与一ゆかりの地であり、湯津上地区は、日本三古碑の一つである国宝「那須国造碑(なすのくにのみやつこのひ)」が祭られ、上侍塚と下侍塚の2つの古墳が残るなど古代ロマンを感じさせる。黒羽地区は、雲巌寺や大雄寺などの古刹が残る数多い歴史文化遺産を持つ。豊かな自然環境のもと、暮らしを楽しむには絶好の地といえる。

遊ぶ

 ①なかがわ水遊園は那珂川をテーマにした水族館でアユやイワナなどの淡水魚とアマゾンのピラルクーなどの熱帯魚、海の魚などを展示。「おさかな研究室」や「創作工房」など体験交流ゾーンも備える。ポッポ農園には1周1200メートルの日本一長いミニSLコースがあり、子どもに大人気。②ふれあいの丘は宿泊施設を中心に運動施設、自然観察館、天文館、陶芸館などがある。自然観察館では昆虫と出合える。天文館の口径65センチ反射望遠鏡で、宇宙の神秘を垣間見ることも。湯けむりふれあいの丘はキャンプもできる芝生広場と宿泊施設のゆーゆーキャビン、③湯津上温泉やすらぎの湯で構成、ゆっくりとした時を過ごせる。御亭山は関東の富士見百景に選ばれている。標高512.9メートルからの360度の眺望は圧巻。市内には8カ所の温泉がある。那須岳や男体山など五連峰が一望できる黒羽温泉五峰の湯はアルカリ性単純温泉。美人の湯と呼ばれて好評。

なかがわ水遊園

なかがわ水遊園

ふれあいの丘

ふれあいの丘

湯津上温泉やすらぎの湯

湯津上温泉やすらぎの湯

食べる

 大田原ブランド品を売り出している。アユは「那珂川あゆ街道」と呼ばれるだけに、扱う料理店は多い。箒川も含めた多くの観光やなでは、アユの塩焼きフライなど①アユ料理を堪能できる。甘露煮、一夜干しなども特産品。独特の香りと歯ざわりを持つウドの②那須の春香うどは全国でもトップクラスの生産量を誇る。辛味が少なく、糖度が高いネギは「那須の白美人ねぎ」の愛称で日本農業賞大賞に輝いた。アスパラガスは「那須の高原アスパラ」として評判。③トウガラシは「とうがらしの郷大田原」として食べるラー油やとうがらしラーメン、とうがらしどら焼などのアイデア商品を開発、市の新名物に育ちつつある。ダイコンやハクサイなどの新鮮野菜は、道の駅那須与一の郷や黒羽ふるさと物産センター、農産物直売所で人気を呼ぶ。リンゴやブドウなどの観光農園も盛ん。地酒は6軒の蔵元が、品評会に出品するほどの名品を送り出している。

アユ料理

アユ料理

那須の春香うど

那須の春香うど

トウガラシ

トウガラシ

ふるさと散歩

【伝統工芸】竹工芸
 県北地方は良質の竹の産地として全国的にも知られている。ここで採れた竹は、かつて上野動物園のパンダのエサとして提供された。大田原地方ではこの地場産の竹を使って、さまざまな竹製品が生産されてきた。昔は「箕み」や「ざる」「かご」などの生活の道具として使われていたが、やがて民芸品としても注

道の駅那須与一の郷

目されるようになった。人間国宝の勝城蒼鳳氏や故八木澤啓造氏ら著名な作家も数多く輩出している。
 市民の間でも愛好者が多く、地域のコミュニティーセンターなどでは、竹工芸の教室が頻繁に開かれている。

わが街自慢の逸品

黒羽茶
 黒羽地区須賀川は、お茶栽培で流通に流せる量を生産する北限とされる。山間部の丘陵は、お茶の栽培に適した環境で、やぶきた茶のほか、在来種も栽培されている。茶葉の形状は小さめながら、
さわやかな香りを持つ。新茶は静岡県より1カ月ほど遅い。飲むと渋みがあり、あとに甘みが残る独特の味が好評。

黒羽茶

大田原ものしり百科

●おおたわら歳時記
1月 太子祭
6月 芭蕉の里くろばね・全国俳句大会
7月下旬 天狗王国夏まつり
8月第1金・土 与一まつり
8月15日 くろばね夏まつり
8月16日 佐久山納涼花火大会
9月第2日 那須与一墓前祭
11月3日 光丸山大縁日
11月23日 大田原マラソン

那須与一のブロンズ像

那須与一のブロンズ像

●ミヤコタナゴ
 コイ科のわが国固有の種で市の魚。かつては関東平野に多く生息していたが、現在では数カ所に。羽田地区の用水もその一つだが、最近は確認されていない。
●道の駅・那須与一の郷
 2004(平成16)年に市の農産物と地域特産品の紹介と情報発信基地としてオープン。07年に与一を紹介する那須与一伝承館がオープンして完成した。与一像は駅のシンボル。
●大田原マラソン
 与一の里を走るマラソン大会としてスタート。市が主催する最大のスポーツイベントで、毎年11月23日に美原公園陸上競技場を発着点に行う。日本陸上競技連盟公認の大会。
●姉妹・友好親善・交流都市
 ウェストコビナ市(アメリカ)/東京都江東区/岡山県井原市/埼玉県草加市


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