日光市長インタビュー 斎藤 文夫 市長

「日光創新」へ一丸

世界文化遺産や雄大な自然を擁する日光市。年間1120万人の観光客が訪れる国際観光都市だ。2006(平成18)年に5市町村が合併し全国3番目の広大な市となった。本格的な新しいまちづくりに向けて「日光創新」のチャレンジが始まる。

世界に誇る文化遺産、温泉も多彩
■日光市の概要を教えていただけますか。
斎藤文夫市長

斎藤文夫市長

 平成18年3月に2市2町1村が合併して新制日光市が誕生しました。日本でも3番目に広い市ですが、人口が減って行政としては困難な面もありま
す。世界文化遺産の日光の社寺など歴史的、文化的遺産があります。国立公園が2つあり、小田代原や戦場ヶ原といったラムサール登録湿地があるなど、雄大な自然、多彩な温泉にも恵まれています。年間1120万人以上が訪れる国際観光都市です。

■自慢したいものもたくさんあると思いますが。

 なんといっても世界文化遺産の日光の社寺です。東照宮、輪王寺、二荒山神社の建造物と、日光の山懐の調和というのは、日本における世界遺産の中でも人工美としては突出したものだと思います。さらに温泉ですね。藤原地域の鬼怒川・川治温泉、栗山地域の湯西川・川俣・奥鬼怒温泉、日光地域でも奥日光には古くからありました。また、日本の近代化を支えてきた足尾銅山の煙等により荒廃裸地化した山に、全国から多くの人たちが植樹に来ています。今、足尾の銅山施設を第2の世界遺産に登録しようと運動を進めています。今市地域でいえば日光杉並木です。日本で唯一特別天然記念物、特別史跡の二重指定を受けています。日光街道、例幣使街道、会津西街道の三街道合わせて37キロあり、世界一長い並木道ということでギネスにも登録されています。

資源を見直して磨き直す作業
■まちづくりで目指しているのはどのようなところでしょうか。

 合併は、最大の行財政改革と考えて取り組みました。今後も財政基盤の確立は最大の課題です。合併後、平成20年に日光市総合計画をつくりました。平成23年度が前期計画の最終年度に当たり、現在、後期計画を策定中です。平成23年度をプロローグとして、後期計画の中で「日光創新」を掲げました。
新しい日光ブランドをつくり、全国へ、世界へ発信していきます。観光、福祉、少子化対策など、職員、市民一体となってアイデアを出し合い、都市間競争に負けない日光市をつくるための政策展開をしていこうと考えています。

■具体的に考えているところは。

 観光面では温泉と医療、観光と商工農業など、横断的な組み合わせで新たなものを生み出したいと思います。資源は大変多いので、もう1回見直して磨き直す作業にも取り組みたい。観光も待っていてはだめな時代なので、近県はもちろん北海道や韓国などにもアプローチを進めているところです。
 基本になるのは新しい時代に向けての市民の意識です。平成20年にまちづくり基本条例をつくりました。市民の手でできることはやろう、協働のまちをつくろうという条例ですが、これらを活用したいと考えています。旧今市市だった平成13年に、NPOの運営を支援するNPO「市民活動支援センター」を設置しました。栃木県内では人口1万人当たりのNPOの数は本市が一番です。早い段階から市民の皆さんと〝新しい公共〟づくりに取り組んだ成果だと思います。福祉関係は特に活発です。これらも新しいまちづくりの中で芽を出してくれるものと期待しています。

地域のイベントなど積極的に支援
■市民を元気にするためにどんな施策に取り組んでいますか。
日光市庁舎

日光市庁舎

 「合併特例債を活用して地域振興のための振興基金をつくり、その運用益を各地で行われてきた祭りやイベントに配分して、地域の元気回復を図っています。平成22年度については合併5周年記念事業として、市内各所の12のイベントを認定して展開してきました。また、高齢化集落対策は宇都宮大学と連携して早くから進めてきました。

■そばまつりが有名ですね。

 今市市長の時代に福島県で開かれていた日本そば博覧会を訪ねまして、翌年、今市で開催する約束を取りつけたのがそばまつりの始まりです。平成22年は少し時期を後にずらしまして、新そばを食べていただきました。

土沢IC付近に新工業団地を整備
■企業に対する支援策はいかがですか。

 中小企業については、借りやすい額や利率の制度融資を設けるとともに、信用保証料を全額補助しています。企業誘致については、この付近は水が良質で量も多いので、これを活用して食品関係企業が多く進出しています。これからも、県のフードバレー構想と連携しながら、食品関係の誘致に力を入れていきます。また、日光宇都宮道路に新しくできた土沢IC近くに、県と市で新しい工業団地の造成を行い、優良企業を誘致したいと思っています。

切手でバードウォッチング

松鷹図(1996年発行 日本)
 タカやワシは精悍なイメージと保護を必要とする希少性から切手のデザインとしては人気が高く、各国から素晴らしい切手が発行されています。
 日本でも普通切手の最高額面1000円の

松鷹図

切手に、室町時代後期に活躍した雪村周継の描いた松鷹図をデザインしています。日本画的に描かれているので、細部がわからず種名の特定は難しいですが、オオタカの幼鳥のようです。
 実は、雪村の松鷹図は2幅の掛け軸になっており、もう1幅も1974(昭和49)年発行の国際文通週間切手としてデザインされています。


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