下野市長インタビュー 広瀬 寿雄 市長

力合わせ歴史つくる

同規模の近隣の町が対等に合併して誕生した下野市。広域行政圏の違いという複雑な条件を乗り越え、新しい歴史の創造に取り組んでいる。古い歴史と、「医」、食、住に恵まれた土地柄を活かしながら、調和の取れた安全安心なまちづくりに挑む。

三拍子がそろった優れた住環境
■下野市がどんな市であるかお話しいただけますか。
広瀬寿雄市長

広瀬寿雄市長

 平成18年1月10日、旧南河内町、旧石橋町、旧国分寺町の対等合併により新設された市です。かつては、下野薬師寺、下野国分寺などがあり、東国仏教の中心地であり、特に薬師寺は、日本の三戒壇の1つでもあります。
 また、自治医科大学と同付属病院があり、医療福祉従事者が就業者割合で第3位を占める医療のまちです。上三川町、壬生町とともに1市2町で広域消防をつくっており、病院群では獨協、自治と2つ持っています。国道4号・新4号国道、JRの駅が3駅と交通環境も整い、住環境にも恵まれています。
 「医」が充実し、食も豊か。「医」、食、住がそろったまちです。

それぞれの地域に特色ある歴史
■特に誇りにしたいものを挙げていただけますか。

 合併前の1つ1つのまちが、それぞれの歴史を持っています。
 旧南河内町には薬師寺跡、旧国分寺町にはその名の由来通り、国分寺跡、国分尼寺跡などの史跡があります。旧石橋町には、警察署や石橋高校があり、ドイツの都市と姉妹都市提携を結んだ「グリムの里」として知られています。ドイツには、3年に一度中学生を送り出しています。旧3町とも、昔から近所づきあいが緊密な温かなまちだと思います。まだ、合併をして5年目ですので、市としての歴史はこれからです。下都賀郡と河内郡の郡違いの合併で広域の行政圏が違って複雑ですが、逆に言うと〝いいとこ取り〟もできます。
 また、先ほど申し上げたように、医療が非常に充実しており、3次救急の総本山としての自治医科大学付属病院があり、2次救急として石橋病院、小金井中央病院があります。さらに、人口6万人の市にしては、個人の開業医が多いというのも特徴の一つです。

■どのようなまちづくりを目指していますか。

 私は2期目ですが、都市計画税や水道料金、国保税など、バラバラだったものを1期目に1つ1つ整理してきました。ごみ処理などの問題も、順次、整理します。下野市としてのカラーが出るまでには、まだ少し時間がかかるでしょうが、住民サービスを滞りなく行い、市民の生活で一番大切な「安心安全」を提供したいと考えています。
 現在の最大の課題は庁舎の建設です。3カ所の分庁舎は、どれも老朽化しており、耐震化しなければならない状況です。費用につきましても、新築の場合と耐震を行う場合の修繕費が、特例債を活用すると考えるとあまり変わりません。さらに、分庁舎はコストパフォーマンスがよくない。庁舎建設の大まかな場所が決まり、平成27年度の供用開始に向けて取り組んでいきます。
 中長期的な大きな目標は財政再建です。10年間の合併特例期限の折り返しに当たり、市の適正な予算規模は175億円から180億円だということが見えてきました。現在は、200億円前後で推移していますから、5年後から10年後には、合併特例措置としての合併特例債や交付税が、約20億円削減されます。それまでに、自立した行政体にしなければなりません。
 こうした中で、一生懸命に考えているのは、子どもたちの安全安心と高齢者の安全安心をつくること。中学3年生までは医療費は無料、子宮頸がんワクチン接種も無償です。高齢者に対しては、肺炎球菌などのワクチン接種の一部助成を検討しています。まず、命に直結し、人間に直接投資するものに力を入れ、間接的な道路やハコものは維持補修ということになると思います。

地域間の交流を密に首都圏とも連携
■県全体の中での下野市の位置づけをどう考えますか。
下野市庁舎

下野市庁舎

 農作物の日本全体の南限、北限が栃木県で、栃木県での南限、北限が下野市になるのです。特産品のかんぴょうのほかにもいろいろなものを作ることができ、若い人が農業に従事できる環境がある土地だと思います。首都圏への通勤にも便利です。地域間の交流を図りながら、都市部からの情報も活かせるまちにできればと思います。
 下野市の元気が栃木県の元気につながると考えてがんばります。フードバレー構想では「かんぴょう街道」ができましたし、「いにしえネットワーク」もあります。薬師寺や国分寺など、歴史を大事な財産として活かしていきたいと考えています。

■企業活動への支援はどう考えていますか。

 工業団地は、ほぼ埋まっています。新しい工業団地をつくるのも時代にそぐわないので、現在、操業している企業に対しての施策を考えているところ
です。定着化は当然ですが、新たな雇用に結びつく施策を考えたい。市の政策として全体がよくなるための制度でなくてはいけないので、企業のメリットと市の制度設計が合致するよう、少し時間をかけてやっていきたいと思っています。

切手でバードウォッチング

カッコウ(1998年発行 スロベニア)
 ユーラシア大陸に広く分布する鳥で、親しみやすい鳴き声から多くの人々に愛され、切手のデザインとしても取り上げられています。
 1998(平成10)年にスロベニアが発行したカッコウの切手は、今まさに「カッ

カッコウ

コウ」と鳴いている一瞬の姿勢を描いています。背景にはコイルとコンデンサによる共振回路と、電波をイメージさせる青い縞模様が描かれていることから、ラジオ局の開局記念切手でしょうか。
 日本では残念ながらカッコウの切手は発行されていませんが、カッコウの仲間のホトトギスの切手が発行されています。


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