野木町長インタビュー 真瀬 宏子 町長

花と緑あふれる町へ

栃木県の最南端にある野木町には、首都圏に通勤する〝野木都民〟が数多く住む。町のシンボルはひまわり。明治時代の煉瓦窯や野木神社など歴史的、文化的遺産も残り、「町民の声が届く町政」を基本に、花と緑あふれる協働のまちづくりを繰り広げる。

自然に恵まれた栃木県の南の玄関口
■町の紹介をお願いできますか。
真瀬宏子町長

真瀬宏子町長

 栃木県の最南端にあって南の玄関口で、小山市、古河市に挟まれた県内で一番小さい町です。西に広大な渡良瀬遊水地があります。東に平地が広がり、平地林が点在する自然にあふれた町です。JR宇都宮線が縦断し、町の中央に野木駅があります。駅を中心にローズタウンなど街並みの美しい住宅地が広がっています。農業は米や二条大麦のほか、トマトなどの施設園芸が盛んで直売所もにぎわっています。

文化的遺産の煉瓦窯を残したい
■町で誇りになるものを挙げていただけますか。

 旧下野煉瓦製造会社のホフマン式煉瓦窯、今は野木町煉瓦窯と呼んでいますが、これがまずわが町の誇りです。ドイツ人のホフマン氏の設計で明治23年に建設され、昭和58年に国指定の重要文化財になりました。16角形という不思議な形をしており、円形様のもので完全な形で残っているのはこの窯だけです。明治時代、各地の建物に使われた煉瓦を生産した〝母なる煉瓦窯〟ですので、ぜひ修復したいと考えています。基金を立ち上げ、子どもたちも含めた個人の寄付も徐々に集まっています。毎年7月のひまわりフェスティバルも自慢ですね。平成23年は20周年になります。また、野木神社は古墳時代の創建といわれ、坂上田村麻呂が蝦夷征伐の際に祈願し、それが成就したので本殿を今の場所に移したとされています。社殿の中には江戸時代の画家谷文晁の絵馬が納められているほか、境内にはおくのほそ道の道中に立ち寄った芭蕉が詠んだ句「一いっぴき疋のはね馬もなし河千鳥」の句碑もあります。本殿の彫刻も見事です。

さまざまな機会を通し町民と直接対話
■まちづくりで今、特に力を入れていることを教えてください。
野木町庁舎

野木町庁舎

 町が生き残っていけるように、インフラ整備を順々に進めています。まず、新4号国道へ野木町からアクセスできる道路がありませんので、古河市と協議してこの建設を始めました。また、間々田と野木の連結路が東側にまだできていませんが、県、小山市と勉強会を立ち上げて、計画路にあげる努力をしています。これらが整備され、県境というロケーションが活かせるまちにしていきたいと考えています。
 ソフト面では協働のまちづくり、町民とともに歩む、きめ細やかなまちづくりに取り組んでいます。ボランティアセンターをつくり、パイロット的に町内2カ所で“高齢者見守りネットワーク”を始めました。町職員、地元の自治会の間で話し合いを進め、全町に広げたいと思います。これは災害の時にも役立ちます。高齢者だけでなく、子育てなど安全安心なまちづくりへ、さらに充実したものにしていきます。
 また、町内にある13の区をくまなく歩いて要望などをお聞きする「町政懇談会」を進めています。町民の方々と役場で直接会話する「みんなの広場」の時間も設けています。小さな町として生き残るには、周辺の自治体と連携し、協力を仰ぎながら、町民と直接顔を合わせてお話しし、声が届く関係を築くことが大切だと思っています。

協働のあかし花と緑いっぱい運動
■中長期的な施策でお考えになっていることはありますか。

 子育て中の若いファミリーと高齢者がふれ合える場、野木町が大きな家族となれるようなステージをつくりたいですね。行政の枠を外して集える「家」のようなものができないかということです。それと「花と煉瓦のまち」。今、「花咲かせ隊」という職員と町民が一緒になったボランティアグループができています。地域にも花いっぱい運動が広がっていますので、協働のまちづくりのあかしとして「花と緑いっぱい運動」を進めたいと思います。

■町や栃木県を元気にするためにどのようなお考えをお持ちでしょうか。

 栃木県の南の玄関口として、ひまわりの花のように明るく人々を迎えられるようにしたいと思います。検討委員会をつくって野木町のブランドづくりも始めたところです。煉瓦窯もそうですが、隠れた資源を発見しながら広める活動を進めたいと思います。

■産業の振興についてはどのように取り組んでいますか。

 商工会と連携をとって助成できるところはしていきます。町内には2つの工業団地があります。さまざまな機会を通して要望をお聞きしながら、長く営業していただけるよう努めています。こういう不景気の時にもがんばってくださっていることにはとても感謝しています。中小企業や商店については低利融資などで側面からの助成を行っています。

切手でバードウォッチング

ソリハシセイタカシギ
(1978年発行 スウェーデン)
 シギの仲間は種類の多さや分布域の広さから世界のバードウォッチャーに人気が高い鳥の代表格です。

ソリハシセイタカシギ

 各国がシギ類の美しい切手を発行しています。1978(昭和53)年にスウェーデンが発行したつがいと思われる2羽のソリハシセイタカシギを描いた切手は紺インク1色の凹版印刷ですが、非常に美しい切手に仕上がっています。
 凹版印刷は古くから切手の印刷に使われてきましたが、その原版の彫刻に大変熟練を要するため、スウェーデンの切手には印面外の余白に目立たないよう切手デザイナー名とともに彫職人の名が印刷してあります。


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