益子物語

八溝の自然と古い歴史に育まれた伝統文化が息づき、ゆっくりと時が流れる。その風土は焼き物の里としても最適で戦後、従来の伝統産業に町外から
移り住んだ作家の活動もあって栄えてきた。この地を訪れた人はきっと地元の人が大切にしてきた多くの宝物と出会う。

見る

 陶芸メッセ・益子は小高い丘に建つ。中心となる益子陶芸美術館には人間国宝・濱田庄司の作品や益子在住の作家、窯元の作品が展示されている。敷地内には①旧濱田庄司邸が移築された。笹島喜平館(木版画)では同氏寄贈の作品が見られ、陶芸工房ではろくろや絵付けの陶芸体験ができる。西明寺は737(天平9)年に行基が開いたとされる。荘厳な重層入母屋造りの②楼門や三重塔、本堂厨子が国の重要文化財。閻魔堂の笑う閻魔大王が珍しい。大羽の里にも室町時代の建立と推定される③地蔵院や宇都宮家の代々の墓がある。綱・大倉神社の本殿は一間社流造りの茅葺屋根で国指定重要文化財。名僧を輩出した円通寺、廊下がウグイス張りの安善寺などの名刹も多い。ましこ花の博覧会は、公共用地、遊休農地などを利用した町民あげての花いっぱい運動だ。ポピーやヒマワリ、コスモス、ソバの花畑が出現する。

旧濱田庄司邸

旧濱田庄司邸

楼門

楼門

地蔵院

地蔵院

学ぶ

 濱田庄司の作品や濱田が諸外国で収集した工芸品、僚友バーナード・リーチ、河井寛次郎らの作品が見られるのが①益子参考館。広く一般の人々の参考にとの意図によってつくられた。茅葺き住居兼工房だった家を改築、そのまま公開している。草木染めの伝統技法を受け継いでいる②日下田藍染工房は江戸時代から続く老舗の紺屋として知られる。つかもと美術記念館は、明治時代中ごろの豪壮な庄屋造りの建物で、棟方志功はじめ、 濱田庄司、河井寛次郎、加守田章二、合田好道、島岡達三など 「つかもと」とゆかりの深い巨匠たちの作品がそろっている。また、作家の作品を展示、販売する店舗も近くにある。ワグナー・ナンドールアートギャラリーは、世界的な哲学者で彫刻家でもあり、益子を愛した故ワグナー・ナンドールが設立した施設。禅の廊下や哲学の庭には同氏制作の老子やキリスト、ガンジーなど11体の像が立つ。益子駅前にある③アーロム(夢)もワグナー作。

益子参考館

益子参考館

日下田藍染工房

日下田藍染工房

アーロム(夢)

アーロム(夢)

 東部に八溝山系の山並み、西部には清らかな小貝川と豊かな自然に恵まれる。県の東南部に位置し、南は茨城県に接する。鉄道は真岡鐵道が町西部を南北に走り、益子と七井駅を持つ。国道121号、123号、294号が中心部で交わり、県道筑波益子線、宇都宮笠間線と主要道が走り、交通網は充実している。町を代表す

陶器市

陶器市

る産業の益子焼は家庭食器から数多くの著名な作家の芸術品まで幅広い。春と秋の陶器市やギャラリーに訪れる観光客は年間約190万人に達する。農業は米作を中心に果樹や野菜生産も盛ん。ハイキングに適した丘陵や山が点在し、社寺仏閣に文化財も多く、休日ともなると県内外からハイカーが多数訪れるなどトップレベルの観光の町である。

遊ぶ

 町は手ごろに楽しめるハイキングコースに恵まれている。益子県立自然公園・益子の森は31ヘクタールの里山林でアカマツやコナラ、ヤマザクラなどで覆われている。森の中を貫く約4キロの散策路や芝生広場、トリム施設のほか、展望台からは日光、那須の山々が見渡せる。同公園内のフォレスト①益子は、宿泊施設や天体観測施設も備え、家族連れでも楽しめる。町最高峰の②雨巻山(533.3メートル)は春から夏にかけてはシュンラン、カタクリ、テングスミレ、ヤマザクラ、ヤマツツジなどの花々が山を彩る。高館山の山頂付近には高館城址があり、山頂には芳賀自然歩道が続いていて権現平展望台からは市街地や八溝の山々を一望できる。茨城県境の大郷戸ダムは散策路や多目的広場が憩いを誘う親水公園。陶芸の町を訪れた記念に③益子焼窯元共販センターで土をこね、ロクロを回し、絵付けも楽しみながら自分の逸品を手にできる。

益子

益子

雨巻山

雨巻山

益子焼窯元共販センター

益子焼窯元共販センター

食べる

 ①JAはが野益子観光いちご団地は12戸の農家が協力し敷地面積10万平方メートルに111棟のハウスが連なる北関東最大級の観光いちご園。12月から5月まで楽しめる。いちご畑レストランのイチゴを使った手作りアイスクリームは女性に人気。アップルランドしまだでリンゴ狩りもいい。益子も②そばどころ。町内にはそば屋さんも多く、毎年11月には新そば祭りを行うほど盛況。山の幸チタケのすいとんも珍しい。とん太ファミリーでは無添加の手作りハムとウインナー。歩き疲れたらカフェレストラン益子の茶屋でかぼちゃプリンや抹茶あずきのシフォンケーキでコーヒーもいい。地酒は燦爛が有名で古い藏を利用したカフェでは利き酒と仕込み水コーヒーもいただける。雨巻山のふもとの大川戸ドライブインは四季を通して流しそうめんを提供する。町内は③手づくりパンの名店が多いのも特徴。共通のパンマップには10軒ほどが、紹介されている。

JAはが野益子観光いちご団地

JAはが野益子観光いちご団地

そば

そば

手づくりパン

手づくりパン

ふるさと散歩

【散策コース】大郷戸ダム
 大郷戸ダムは、益子町南部の約400ヘクタールの水田に水を供給する農業用のダム。1976( 昭和51)年に着工し、11年の歳月をかけて完成した。ダムの整備とともに、周辺には桜や紅葉などが植栽され、遊歩道、あずまや、芝生の園地なども整えられた。農業用水の確保だけで

静かに美しい水をたたえる大郷戸ダム

静かに美しい水をたたえる大郷戸ダム

なく、自然を満喫できる憩いのスポットとなっている。「とちぎのふるさと田園風景百選」認定地ともなっている。
 静かな湖面に渡る風は、日常の喧騒を忘れさせてくれるのに十分。益子市街地から車で10分ほどの距離で、ダムの周囲には周回できる道があり、家族連れでも比較的楽に行ける。

わが街自慢の逸品

道楽そば
 県産のそば粉だけを使用した手打ちそばは、香りとのどごしがいい。粉の粗さを変えてブレンド。それぞれが持つ香りと味、食感をうまく引き出すことにこだわる。つゆには日高昆布を使用、コクに気を使う。「道楽そば」は5つのわんこそばにそれぞれ梅おろしや山いもとうずら、のり、山菜、納豆がのる。色彩も味も多様で好評だ。そば割烹「木乃香」で食べられる。

道楽そば

益子ものしり百科

●ましこ歳時記
4月下旬~5月上旬 春の陶器市
7月23日~7月25日 祇園祭
7月24日 御神酒頂戴式
8月下旬~9月上旬 炎まつり
11月上旬 秋の陶器市
●御神酒頂戴式
 祇園祭のハイライトで関東三大奇祭の一つ。祭り当番の引継ぎの儀式。1年365日になぞらえ朱塗の大杯に注がれた清酒3升6合5勺(約6.5リットル)を次の当番町10人で飲み干す。

御神酒頂戴式

御神酒頂戴式

●日下田藍染工房
 草木染の伝統を守りながら創作図案による型染の技法で作品を仕上げる。藍、紅花、茜などの植物染料を鉄や灰などの触媒剤で発色させる。茅葺屋根の工房には72個の藍染め用の甕が並ぶ。


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