岩舟物語

万葉集に歌われるなど古代から歴史と文化の香りに包まれる。関東平野の北端で山と平野の産物に恵まれ、交通の便もよく、農工商の調和の取れた町
として発展。町の将来ビジョンとして、心豊かに安心して暮らせるやさしい自然と文化のまち〝元気ないわふね〟を掲げ、まちづくりを進めている。

見る

 佐野市にまたがる県営都市公園・みかも山公園の東北部に位置する①とちぎ花センターは県営の花のテーマパーク。国内最大級の2225平方メートルの大温室がある。歩いて回遊しながら熱帯や砂漠の世界の貴重な植物と対面できる。春先に咲く神秘的なヒスイカズラは人気を集める。バラ園や大花壇も華麗。洋ランやアジサイなど個別の企画展も多く開催される。三谷の②成就院のしだれ桜も見逃せない。樹齢300年を誇った天然記念物の名木は枯れたものの、実生で育った子孫が立派に育ち、訪れる人を魅了する。小野寺の大慈寺のヤマツツジやアジサイも山々を背景に見ごたえ十分。岩船山など町内各所に群生するコスモスも風情がある。岩船山頂の高勝寺は8世紀後半に弘誓坊明願(ぐぜぼうみょうがん)が開いたと伝えられる。県指定文化財の仁王門や③三重塔、鐘楼は壮麗で必見。同寺には日本三大地蔵の岩舟地蔵があり子育の地蔵としても知られる。春秋の彼岸は特ににぎわう。

とちぎ花センター

とちぎ花センター

成就院のしだれ桜

成就院のしだれ桜

三重塔

三重塔

学ぶ

 律令時代に畿内と地方を結ぶ幹線道路の東山道が通過するなど古くからの歴史に富む。万葉集東歌に「下毛野 みかもの山の 木楢のす まぐわし児らは 誰が筍か持たむ」と町内で見かけた女性への思いが詠まれている。天台宗第三代座主で密教の発展に貢献した慈覚大師①円仁(794 -864)の生誕地とされる。幼年に大慈寺で修行、大慈寺には、日本文化に造詣の深かった元駐日米大使のライシャワー氏(1910-1990)が慈覚大師を「世界的偉人」とたたえた碑がある。境内には、県内では輪王寺で見られる仏塔の県指定文化財の相輪橖(そうりんとう)が往時をしのばせる。三間春日造りの重要文化財の本殿を持つ②村檜神社は、平将門の乱を鎮めるために藤原秀郷が祈願に訪れたといわれる。小野寺一族ゆかりの住林寺には県指定文化財の阿弥陀入来坐像が鎮座する。石造りの2階建ての③岩舟石の資料館は元石材会社の事務室を転用、石垣や土台石に活用された岩舟石の砕石に使った道具などを展示する。

円仁

円仁

村檜神社

村檜神社

岩舟石の資料館

岩舟石の資料館

 県南部に位置し、総面積は46平方キロ。人口は18000人強。町の北部は足尾山地につながる丘陵地帯。三杉川沿いに平地が開け、中南部は平坦地で関東平野が始まる。町中央に町名の由来となっている岩船山、西には万葉集に詠まれた三毳山がそびえる。南北に東北自動車道が縦断。同道と北関東自動車道を接続する

岩舟町の象徴的存在の岩船山

岩舟町の象徴的存在の岩船山

岩舟JCTは交通の要衝として群馬県方面への起点となる。東西に物流の大動脈の国道50号。鉄道はJR両毛線の岩舟駅と東武日光線の静和駅とを持つ。1956(昭和31)年に静和村・岩舟村・小野寺村の三村合併で発足、1962年(昭和37)に町制施行、岩舟町となる。

遊ぶ

 ①みかも山公園は三毳山全体を利用した県最大の都市公園。園内を走るフラワートレインで上り下りも楽。自然散策路でカタクリやニリンソウなど季節の花を観賞しながらの散歩はお勧め。わんぱく広場、冒険の森、ハーブ園など盛りだくさんで親子で楽しめる。園内のみかも山岩舟特産館では地酒や漬物、弁当などがそろう。②町総合運動公園内の健康福祉センター遊楽々館はトレーニング室兼機能回復訓練施設で心身を鍛え、大浴場とミストサウナで疲れた体を癒す。すっかり名物になったのが毎年秋に岩舟石の採石場跡を利用した③クリフステージ。若手中心のNPO法人が企画、一流ミュージシャンを招き、熱気があふれる。採石場跡は映画やテレビの撮影現場としても名高い。三毳山と大慈寺西の諏訪岳は栃木百名山で登山客を集める。岩船山の長い階段を上り、やはり百名山の晃石山を経て太平山に至る縦走コースも人気。ハイキング気分で関東平野の眺望を楽しめる。

みかも山公園

みかも山公園

町総合運動公園

町総合運動公園

クリフステージ

クリフステージ

食べる

 山地と関東平野の接点の町は、山と平野両方の産物に恵まれている。山里の代表はそば。小野寺の山里のそば①みすぎ庵は地元産のそばを地元の名人が打ち定評がある。そば打ち道場みすぎ夢工房ではそば打ちも体験できる。 とちぎ花センターの道路を隔てた東には特産物販売の②花野果ひろば。新鮮な野菜などの農産物の直売のほか、手作りまんじゅうやジェラート、ジュース、天然酵母パンなどが人気。併設のそば処円仁庵でも、地粉を使った手打ちソバと新鮮な野菜を使ったてんぷらなどが提供される。また、同敷地内の③フルーツパークではブドウやトマト、イチゴ狩り、ブルーベリー摘み、サツマイモ掘りと盛りだくさんの体験ができる。町はブドウの生産量県下一を誇っており、品質と味には絶大な自信を持つ。町内の特産物は農産物や清酒、みそなど多くが逸品、名産品としていわふねブランドに認定されている。

みすぎ庵

みすぎ庵

花野果ひろば

花野果ひろば

フルーツパーク

フルーツパーク

ふるさと散歩

【伝説】小野小町の墓
 絶世の美女とうたわれた小野小町は、年老いてからはその美しさも衰え、諸国を流浪する旅に身をやつしていた。やがて岩舟町小野寺の大慈寺にたどりつき、ここで病に倒れてその平癒を祈願して薬師堂にこもった。
 ある日、大慈寺裏の諏訪が岳の断崖に登ると、彼方に美しい薬師如来の世界が

大慈寺の近くにある小野小町の墓と伝えられる史跡

大慈寺の近くにある小野小町の墓と伝えられる史跡

広がっている様を見る。これに感動した小野小町は、そのまま崖から身を躍らせ、命を絶ったという。
 これをあわれんだ村人たちは、墓所をつくって手厚く葬ったといわれ、その墓と伝えられる場所が大慈寺境内の近くにある。近隣の住民に今でも大切に守られている。

わが街自慢の逸品

みかも焼き
 三毳山のふもとの粘土で焼いた素朴で温かみのある陶器。町内では昔から、かめなどの日用雑器が作られていた。故川原井文次郎がみかも焼小楢窯を設立、後を継いだ文雄氏がさらに研さんを重ね、栃木製陶みかも焼きとして県の伝統工芸品の認証を得るまでに高めた。使い勝手のよい日用品や絵皿、壷などは町ブランドの象徴でもある。

みかも焼き

岩舟ものしり百科

●いわふね歳時記
3月 春彼岸会(岩船山高勝寺)
8月 いわふねの夏祭り
9月 秋彼岸会(岩船山高勝寺)
10月ごろ 岩船山クリフステージ
12月 鷲神社まつり

コスモスホール

コスモスホール

●土管・苗木
 農地改良に使われる土管や静和地区の苗木作りも盛んで、古くからの特産品として知られる。
●コスモスホール
 町文化会館。慈覚大師円仁が乗った遣唐使船をイメージしたデザインがユニーク。
●町民の歌・岩舟音頭
 1969(昭和44)年に制定。医師で作曲家の小野寺の故松永耕明さん作曲。
 音頭は国民的歌手の三波春夫さんが朗々と歌った。
●小野小町
 小野寺に墓がある。当地で亡くなった美貌の歌人の小町を村人が供養したという全国に多くの墓が存在する小野小町伝説の一つ。


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