市貝物語

八溝山系から続く標高140メートルから200メートルの丘陵地は、那珂川県立自然公園に指定される豊かな自然環境と文化に恵まれる。
里山と田園風景の中に武者絵のぼりの勇壮さとシバザクラの鮮やかな色彩。豊かな自然環境に燃えるエネルギーを加えた町は未来を確実に切り開いていく。

見る

 町最北部の芳那の水晶湖は農業用水の貯水池だが2004(平成16)年から町民のボランティアでシバザクラを2.4へクタールに植栽、関東でも有数の広さの芝ざくら公園となった。赤やピンク、白、紫の4色で小貝川の流れをデザインした華麗な光景は一躍、町のシンボルともなって観光客でにぎわう。普段はカモなどが飛来、野鳥の絶好の観察スポット。多田羅駅から西に1キロほどの①多田羅沼も人工池で周囲に1.4キロの遊歩道が整備されている。北側の湿地には湿地性植物も多く、春は桜やツツジ、6月には沼の南側に群生するスイレンが咲き、自然観察の適所。観音山梅の里は地域で梅栽培に取り組んでいる。観音山の丘陵地に約3000本の梅が植えられ、3月の②梅まつりにはカラオケ大会や野点などが行われる。4月には記念樹の森でさくらまつりが開催される。杉山久木八幡宮の祭日である4月の第1日曜日には③杉山太々岩戸神楽が奉納される。

多田羅沼

多田羅沼

梅まつり

梅まつり

杉山太々岩戸神楽

杉山太々岩戸神楽

学ぶ

 観音山頂上の①村上城跡は1378(永和4)年に村上新助良藤が築城、3代にわたり約50年居城したと伝えられる。土塁と堀が残る。②入野家住宅は国指定文化財。入野家は武士の出で、江戸時代初期から代々名主を務めた家柄。主屋は1836(天保7)年から5年を費やし、飢饉に際して村民救済事業として建設されたことが分かっている。大きな改造もなく、往時の姿をよく伝える。母屋と入母屋造りの長屋門は国の重要文化財。町指定文化財の千手観音堂の創建は古く、現在の堂宇は、領主千本大和守義貞によって修復され、正面欄間の竜の彫刻など部分によっては古さと迫力に富んだ作品となっている。堂内には平安中期の作といわれる像高172センチの桧材一木造りの県指定文化財の③千手観音があり、60年に1度1日だけ開帳される。2010(平成22)年11月に開帳された。歴史民俗資料館は、歴史上の遺物や文書、衣食住にかかわる生活上の道具などを展示する。

村上城跡

村上城跡

入野家住宅

入野家住宅

千手観音

千手観音

 1954(昭和29)年の町村合併促進法に基づいて市羽村と小貝村が合併、市貝村となり、1972年に町制施行、平成の大合併では芳賀郡市町と論議の末に単独の道を選択した。2011年10月の西方町の栃木市合併により人口では県内一少ない町となる。県都宇都宮市から東へ24キロに位置し、周囲は真岡市など芳賀郡市町と那

芝ざくら公園

芝ざくら公園

須烏山市。真岡鐵道が南部を東西に横断、市塙など3駅がある。国道123号が南部を通過、町中心部で交差する県道宇都宮茂木線と黒田市塙真岡線が大動脈。小貝川が縦断して流れ、西南部は平坦で耕作地が多く、東北部は山野が占める。国道沿いの赤羽工業団地には有力企業が立地、中心部に商業と農工商の調和が取れている。

遊ぶ

 ①伊許山園地は日光を開いた勝道上人ゆかりの御岳山麓に広がる憩いの場で栃木の景勝百選。遊具広場やトリム広場があり、春は2000本のツツジの花、夏にはキャンプも楽しめる。展望台からの眺めも抜群。那珂川県立自然公園に位置する琴平山(182メートル)には滝の沢渓谷がある。山頂へ続く約2キロの②琴平山遊歩道に架かる吊り橋からは男滝、女滝が望める。頂上の展望台からは那須や日光連山も一望できる。小貝川と桜川の合流点付近はサイクリングロードが整備されている。下館~茂木間を結び、素朴な蒸気機関車が走る真岡鐡道。町内には、多田羅、市塙、笹原田の3つの駅があり、乗車するのに便利。豪快な汽笛を響かせて田園地帯や山あいを走る③SLの旅を楽しむことができる。ゴルフ場は町内に起伏に富んだ丘陵コースが3カ所ある。8月には太鼓フェスティバルや花火大会などのアトラクションがある温泉まつりが開催される。

伊許山園地

伊許山園地

琴平山遊歩道

琴平山遊歩道

SLの旅

SLの旅

食べる

 ソバ栽培に適している地域だけにそばは味わい深い。「八溝そば街道」のそば店にはハナミズキ亭と芳那の水晶湖の芝ざくら公園のレストラン「はな」が加盟、自慢の手打ちの①八溝蕎麦などを出す。「はな」は、花の季節の4、5月は毎日営業するが、それ以外は土日と祝日のみとなっている。農業は米作中心からナスやキュウリ、トマト、イチゴ、アスパラガスなどの野菜とナシなどの果実類、畜産、花き類に移りつつある。新鮮な農産物は、ゆったりランド農産物販売所やフレッシュ農産物赤羽直売所、②芝ざくら公園直売所などで購入できる。③特産品もいろいろ。菓子類では100キロ飴やまんじゅうが名産品。梅の里は梅干や梅ジャムを生産する。地酒は世界酒類コンクール・モンドセレクションで日本酒初の金賞を受賞した惣誉酒造が有名だ。1872(明治5)年創業の老舗で山田錦を使った生酛(きもと)づくりは味わいのある大人の酒。

八溝蕎麦

八溝蕎麦

芝ざくら公園直売所

芝ざくら公園直売所

特産品

特産品

ふるさと散歩

【自然】サシバの里づくり
 市貝町はNPO法人オオタカ保護基金の活動と連携して、サシバの保護を通したまちおこしに取り組んでいる。サシバは環境省が絶滅危惧種に選定している中型のタカ。市貝や茂木周辺は日本でも有数な繁殖地になっている。
 オオタカ保護基金は、都市部との交流や営農支援を行う仕組みづくりを提案している。
 これを受けて町では、「サシバの里」ブランドを立ち上げて、町のPRや活性化に活用していく。既に商標登録の申請を行っている。

「サシバの里づくり」の主役サシバ(オオタカ保護基金・野中純氏撮影)

「サシバの里づくり」の主役サシバ(オオタカ保護基金・野中純氏撮影)

わが街自慢の逸品

武者絵のぼり
 端午の節句に男の子の無事な成長と立身出世を願って立てられる。勇壮で色彩鮮やかな日本独自の伝統芸術で、江戸時代からの紺屋である大畑家が明治時代から本格的に取り組み、代々受け継がれている。古民家を移築した大畑武者絵資料館には江戸時代から今日までの武者絵のぼりや掛け軸、屏風、絵皿などと古文書などが展示されている。

武者絵のぼり

市貝ものしり百科

●いちかい歳時記
3月 梅まつり
4月 桜まつり
8月 いちかい温泉まつり 田野辺の天祭
   日枝神社のご祭礼
11月 町民祭

太鼓フェスティバル

太鼓フェスティバル

●武者太鼓
 1991(平成3)年の第1回いちかい温泉まつりの太鼓フェスティバルに感動し、地元にも太鼓チームをと町中央公民館の協力を得て振興会が設立された。イベント出演のほか和太鼓教室を開き指導にも力を注ぐ。
●氣の研究会栃木本部
 心身統一合気道を主催する合気道団体で創始者の藤平光一氏の氣の原理を介護・健康や企業研修に応用すべく講習会などを行っている。


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