栃木県県知事インタビュー 福田 富一 知事

「元気度日本一」目指す

底力は持ちながらも、何となく影が薄いといわれてきた栃木県。さまざまな地域資源を活用した「有名有力県」づくりの努力を続けてきた。食をキーワードにした「フードバレーとちぎ」構想も進む。栃木県重点戦略「新とちぎ元気プラン」では、「元気度日本一」を掲げてさらに豊かな“とちぎづくり”へ歩みを続ける。

バランス取れた産業豊かな自然、文化遺産
■栃木県のPR、自慢したいところを挙げていただくとすると、どんなところでしょうか。
福田富一知事
福田富一知事

 栃木県は47都道府県のさまざまなランキングで、20位前後の県といわれています。その根拠は、まず、面積が20位であること。関東では最大です。人口も20位ですが、群馬を抜いて関東で最少県を脱出しました。世帯数も20位です。
 平成23年10月に栃木市と西方町が合併すると14市12町になります。県のシンボルとなる木はトチノキ、県獣はカモシカ、県の花はヤシオツツジ、そして鳥はオオルリです。1人当たりの県民所得は平成19年度の数字で310万5000円、これは全国8位です。平成20年の農業産出額は約2700億円、全国10位。それから平成20年の製造品出荷額等が9兆2792億円で全国12位の“ものづくり県”です。農業も工業もバランス良く発展していて、全国トップレベルといえると思います。
 また、非常に高速交通網が発達し、東西南北、どこにも短時間で移動しやすい県で、対外的には大きな威力を発揮しています。イチゴは、41年連続収穫量が全国一。さらには日産自動車をはじめとして、メイドイン栃木の工業製品が世界に羽ばたいています。
 全体を通して栃木はロケーションがすばらしい。農業、工業がバランスよく発展しているのはもちろんですが、ゴルフ場も全国4位、温泉の良さでも全国トップクラス。世界遺産に登録されている二社一寺など歴史遺産、そしてユネスコの無形文化遺産となった結城紬などの伝統工芸もあります。
 それから何と言っても自然の豊かさです。四季の変化がはっきりしており、春の桜やカタクリの楽しみから、秋の紅葉、冬のウインタースポーツまで、県内で完結できます。また、平均年齢が若いのも栃木県の特徴です。三世代住居が多く、これは年長者を大切にする大家族が多いということです。住居の面積が日本一広いのも栃木県。ゆったりとしたところに住み、四季の変化を楽しみながら、三世代同居でおじいちゃん、おばあちゃんを大切にしながら一家だんらんを楽しむ、これが栃木のイメージだと思いますね。

地域ブランド発掘し「とちぎ自慢」を発信
■施策として取り組まれていることはありますか。

 「フードバレーとちぎ」構想を平成22年からスタートしました。その一環として「食の回廊」事業を進めています。食をテーマにした10の街道を県内に整備し、食を通じて地域の特色を活かしながら地域性を発揮するという取組です。あわせて食品関連産業の振興を図ろうというものです。
 豊かな農産物、良質な水などは、他県のみならず世界に誇れる資源ですので、これらを有効活用したい。栃木県はものづくり県ではありますが、輸出が中心になりますので、景気に比較的左右されにくい食品関連産業、内需型産業の振興を通して、本県の一層の発展を目指していくというのが「フードバレーとちぎ」構想です。
 民間の調査「地域ブランド調査2010」の速報では、栃木県の魅力度ランキングは全国45位となっています。いいものがたくさんあり、実力も兼ね備えているのに、魅力度45位というアンバランスが発生しています(直近の同調査では41位にアップ)。そこで、平成20年4月に私を本部長として、「とちぎブランド推進本部」を立ち上げて、「ブランドに着目した誇り輝く“とちぎ”づくり」を行ってきました。地域の資源を活かすということです。県民の皆さんに栃木のすばらしさを再認識してもらうため、「とちぎのいいこと“つぎつぎ自慢”」と名付けた資料を作りました。

県内全域を網羅した食の街道づくり
■具体的にはどのような内容になるのですか。
栃木県庁舎
栃木県庁舎

 戦略的なものづくりを目指した「商品や技術力のブランド化」、優れた地域資源を活かした「地域イメージのブランド化」、それらを一体化した県内外への「情報発信」という3つの取組を行っています。
 商品技術力のブランド化では、ものづくり県として、特に「自動車」「航空宇宙」「医療機器」「光」「環境」の重点5分野を指定して、新技術、新商品の開発への支援を行っています。また、「フードバレーとちぎ」を目指した第一次産業から第三次産業までの連携で、食品関連産業の振興にも取り組んでいます。
 地域イメージのブランド化としては、食をテーマに農産物、伝統文化、景観、多彩な地域資源などを連携させた「食の街道づくり」を実施してきました。平成22年10月には、壬生、上三川、下野、小山にまたがる「歴史とロマンのかんぴょう街道」が完成し、県内の全市町が食の街道で結ばれました。かんぴょう伝来300年に当たる平成24年を迎える前にできたことは、意義あることだと思います。
 情報発信の一元化については、テレビ、ラジオ番組のほか、船村徹さんやU字工事といった県外で活躍している人たちに「とちぎ未来大使」を委嘱しています。特に思い入れの深いものがある方には、広報官という役回りもお願いして、地酒、かんぴょう、しもつかれ、温泉など、栃木のさまざまな情報発信をしてもらっています。
 また、平成24年の春、東京スカイツリーが開業しますので、それに合わせてスカイツリーの商業施設の中に市、町、県一体となってアンテナショップを設置をすることになり、現在その準備を進めています。ここを拠点に効果的な情報発信を行い、知名度アップやイメージアップにつなげていきたい。「有力な県ではあるけれども無名」という現在の状況から、「有名でなおかつ有力な県」へ、実力に見合った評価をしてもらえるようPRをしていきたいと思っています。

■栃木県の物産を集めた「おいでよ!とちぎ館」もありますね。

 平成22年4月にオープンしました。県内の農畜産物、野菜、果物、伝統工芸品、地域の土産物など、有名なものはほぼ並べられています。ぜひ足を運んでもらって、まだ見たことがなかったとか、食べたことがなかったとかというものがあったら、お買い求めいただくと、栃木を理解する早道になると思います。県外のお客様がお出でになった時などの土産物の調達などもできますので、大いに活用してもらいたいですね。

安心、成長、環境を掲げ新とちぎ元気プラン
■中長期的にはどのような県づくりを目指していますか。

 県は5年ごとに総合計画を作っています。平成22年度までが「とちぎ元気プラン」の5年間でしたが、23年4月からは「新とちぎ元気プラン」として次の5年がスタートしました。長期的な展望に立ち、5年間で対応しなければならないものを重点的に施策事業に取り込んで、成果指標を掲げ、それを達成すべくオール栃木、オール県庁で取り組んでいきます。選択と集中による施策の重点化を図りながら推進していきたいと思っています。
 「新元気プラン」では、とちぎづくりの主役である県民と目指すべき将来像を共有できるよう、「安心」「成長」「環境」をともにつくる「元気度日本一栃木県」という分かりやすい言葉で表しました。
 まずは人づくりが基本ですので、これを政策の基本に据えました。「暮らしを支える安心戦略」「明日を拓く成長戦略」「未来につなぐ環境戦略」の3つの重点戦略を掲げ、それぞれ重点化を図ったプロジェクトを設定して、成果指標の達成を図りたいと思っています。
 「豊かな人間性を育む教育」「健康づくりの推進」「安心の医療の確保」「成長性の高い産業の振興」「豊かな自然環境の保全」など、新元気プランに掲げた取組を着実に推進し、本県が優位にある分野はさらにそれを向上させ、残念ながら遅れが見られる分野についてはレベルアップに努めていきます。本県の総合力を高め、県民一人ひとりが豊かさを実感できる元気な栃木の実現を目指します。

■県民の皆さんにメッセージはありますか。

 栃木の県民性は奥ゆかしさともいわれます。ネガティブに言えば目立ちたがらない。もう少し自信を持ち、県内外の人たちに誇りを語っていくべきだと思います。
 私たちが子どものころを思い出しても、例えば自家製のおいしい漬物をお客さんに振る舞う際にも、「お粗末なものですけど」なんて言って出す。「自分が作ったおいしいものですからぜひ食べてください」というように、200万人の県民一人ひとりが自信を持って話すことができるようになれば、もっと地域が明るく、元気になり、有名有力県はすぐに栃木県の冠になるでしょう。意識改革が一つの大きな要素になると思います。


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