仮通夜と納棺

故人の旅立ちを送る支度をします

仮通夜と本通夜

 逝去した夜、遺族が死者の蘇生を願って夜通し遺体を囲むのが通夜で、葬儀の前に行われます。  
 仮通夜は、逝去当日には連絡が行き届かないため、家族やすぐに駆けつけられる人を中心に行われています。

仏式の遺体の安置

 臨終を迎えた遺体は病院の霊安室から通夜・葬儀を行う自宅または斎場へと搬送し、安置します。自宅へ戻ることが出来ない場合は病院の霊安室で一夜を過ごします。
 自宅において仮通夜を行う場合、納棺まで遺体は頭を北方向、足を南方向に向けて布団に安置します。住宅の事情により難しい場合は西枕か仏壇側に頭を向けてもかまいません。シーツは新しいものを用意します。
 遺体の顔には白い布をかぶせ、手は胸元で組ませます。布団の上には魔除けの守り刀を置きます(浄土真宗では行わない)。
 遺体の枕元には「枕飾り」を置きます。白木製か白い布を掛けた台を用意し、三具足(香炉・花立て・燭台のこと)を置きます。香炉の線香、花立ての花、ロウソクはそれぞれ1本だけ立てます。
これは、二度とありませんようにとの願いに由来するものです。そして、水を入れたコップ(茶碗でも可)と茶碗に入れた山盛りの白飯に箸を2本立てて刺し、皿に団子などを供えます。
 線香やロウソクは絶やさないようにします(不断香という)。
 神棚がある場合は扉があれば閉め、前面に半紙などの紙を貼って封をします。これは、神道においては「死」はけがれとされているためで、けがれを神棚に入れないための「神棚封じ」と呼ばれます。神棚封じは忌明けまで行います。

神式・キリスト教式の遺体の安置

 神式も仏式同様遺体は北枕にし、守り刀を置きます。女性は刀の代わりに鏡を置く場合もあります。
 枕飾りは白木の台の上にお神酒、塩、米を載せた三方、水、一対の榊、燭台、を飾ります。
 キリスト教式は枕飾りの習慣がないため、枕飾りをする場合、飾るものに決まりごとはありません。一般的には燭台と聖書、十字架、生花などが飾られます。

写真提供:大心堂

写真提供:大心堂

写真提供:大心堂

写真提供:大心堂

写真提供:大心堂

写真提供:大心堂

写真提供:日本蘭科植物園

写真提供:日本蘭科植物園

枕経・枕勤め

 枕飾りを整えたら僧侶を迎え、枕経(読経)と焼香をあげてもらいます。その間遺族は僧侶の後方に座り枕勤めをします。遺族および弔問客の服装については、仮通夜ですので喪服を着る必要はありません。

死装束

 納棺を行う前に遺体の衣服を死装束に着替えさせます。仏式の場合は経帷子を左前に着せ、手甲脚絆、白足袋、わらじを着けて六文銭(三途の川の船賃として)と頭陀袋、数珠、編み笠を持たせます。最近はこの死装束ではなく、生前愛用していた衣服や浴衣を着せることも多くなっています。また、死後硬直が始まっている場合は上からかけるだけのときもあります。
 神式では白い着物、帯に白足袋を履かせます。キリスト教式では決まった装束はありません。

納棺

 枕経・枕勤めが終わると通夜の前に遺体を棺に納めます。納棺は近親の遺族を中心に、葬儀社がサポートする形で行うとよいでしょう。仏式、神式、キリスト教式では納棺の手順が異なります。

仏式の納棺のしかた

 遺体から指輪などの装飾品を外します。
 棺に白布を敷き、頭の部分に枕を置いて、遺体をあおむけに納めます。両手は組ませ、木の数珠をかけます。
 続いて遺体の周囲を生花で飾ります。
生前の愛用品や思い出の品などを副葬品として入れます。副葬品は火葬の際に遺骨を傷つけてしまう恐れのあるものは避けます。
 棺に蓋をしてその上に「七条袈裟」をかけます。棺には釘は打ちません。

神式の納棺のしかた

 棺に納めた遺体の周りに生花を飾り、生前の愛用品を棺の中に入れます。棺の蓋を閉めたら釘打ちして白い布で覆います。棺は祭壇のそばに安置します。
 納棺から出棺までの間は、毎朝夕「常餞」(故人が生前好んだ料理)と「生餞」(未調理の食物)を供えて拝礼します。

キリスト教式の納棺

 神父(カトリック)、牧師(プロテスタント)が聖書を朗読、聖歌の斉唱に続き、神父による納棺の言葉を告げると棺に納めます。遺体の手は組ませて故人の十字架を持たせ、白い花で飾ります。棺の蓋を閉めたら黒い布で覆います。その後遺族による聖歌の斉唱と祈祷が行われ、カトリックの場合は神父や遺族、親族、参列者に対してお清めの撒水をします。

訃報を受けたとき

近親者からの訃報
 身内の訃報を受けた場合はすぐに駆けつけますが、親族として葬儀終了までできる限り手伝いをします。遠方の時は泊まり込みすることも考慮に入れて準備をします。
知人や友人からの訃報
 訃報を受けたら、知らせてきた遺族の気持ちを汲んですぐに駆けつけます。この時喪服は着ないようにします。派手なアクセサリーは外して化粧も控えめにしましょう。また、故人と共通の知人関係などにも連絡をとり、葬儀の日程などを知らせます。
隣人からの訃報
 自宅で通夜・葬儀を行う場合、準備には人手が必要となるため、親しい付き合いのあった隣人であれば、できる限り手伝いを申し出るといいでしょう。葬儀にも参列します。
弔問にすぐに行けない場合
 都合によりどうしても弔問に行けない時は弔電を打ち、後日改めて弔問に葬仮通夜と納棺行くかお悔やみの手紙を出す方法もあります。自宅もしくは斎場に送り、葬儀の前日までには届くようにするのがマナーです。弔電の宛先は喪主の名前としますが、不明な時は「ご遺族様」としても構いません。

お悔やみの言葉と忌み言葉

 遺族と話をするときや弔電を打つ・弔辞を述べるといったときは、忌み言葉を使わないよう気を付けましょう。
 「重ねがさね」「再び」「続く」などは不幸が続く・重なるという意味につながりますので避けます。「生きる・死ぬ」といった表現は使わず「死亡」は「逝去」に、「生存中」は「ご存命中」か「お元気なころ」などと言い換えます。
「ありがとうございます」という言葉も極力避け、「恐れ入ります」とします。
 故人が高齢で亡くなった場合に「天寿を全うした」や「大往生」という言葉を使うのは遺族側だけに限られます。
 神道やキリスト教においては「冥福」「供養」「成仏」「往生」などの仏教用語が忌み言葉となりますので気をつけます。
 また、故人の死因については、遺族から言われない限り聞くことは慎みましょう。


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