那珂川物語

八溝山系の山々と清流那珂川がもたらす自然の恵みを受け、発展を続けてきた馬頭町と小川町。人々は文化を愛し、産業を育て、歴史を造ってきた。
その集大成として、合併によって那珂川町が誕生した今、未来に向かって自然環境と共生するまちづくりを掲げる。

見る

 ①馬頭広重美術館は江戸時代の浮世絵師・歌川広重の肉筆画など貴重な作品がそろう。自然と芸術を一体で味わえるのが②いわむらかずお絵本の丘美術館。絵本の原画が展示されているほか、美術館一帯の雑木林が絵本の舞台のような「子どもの森・絵本の丘」として整備され、絵本の世界に溶け込むよう。もうひとつの美術館は障害者の芸術活動をサポート、作品を紹介している。小砂地区では7軒の窯元が民芸の味わい深い③小砂焼を生産、陶遊館では陶芸体験もできる。西部のカタクリ山公園は関東有数の群生地として知られる。観音寺の樹齢250年といわれるシダレザクラは華麗。イチョウは光照寺が推定樹齢450年、戸隠神社が同350年の巨木で迫力十分。馬頭院の枝垂栗は藩主の水戸光圀が常陸国から移植したと伝えられる。武茂川沿いの御前岩は奇岩。光圀が「出生岩」と名づけ、対岸から直接見えないように竹を植え、竹林は「腰巻竹」の名を残す。

馬頭広重美術館

馬頭広重美術館

いわむらかずお絵本の丘美術館

いわむらかずお絵本の丘美術館

小砂焼

小砂焼

学ぶ

 文化財に恵まれる。国指定史跡の筆頭は古代の役所の那須官衙跡。発掘調査で役所や倉と見られる建物跡が確認された。県内最古とされる駒形大塚古墳、前方後方墳の①那須八幡塚古墳などがある那須小川古墳群も国指定史跡。唐の御所は古代の豪族の墓跡と伝えられる。②那須神田城跡は、弓の名手那須与一が生まれた城跡とされる。深い堀と土塁が当時をしのばせる。ふるさとの森公園内の③なす風土記の丘資料館は歴史を時系列で展示している。公園内には民俗資料館や八溝産材の木造施設ふるさと館、八角三重の塔などがあり、学びと憩いの場所となっている。県指定文化財になっているのが鷲子山上神社本殿。807(大同2)年の創建といわれ、柱などの彫刻と装飾は類例をみない奇抜なものだ。境内一帯は「21世紀に残したい日本の自然百選」、神木の大杉は「とちぎの名木百選」に選ばれている。馬頭広重美術館に隣接する馬頭郷土資料館は、馬頭の歴史を伝える。

那須八幡塚古墳

那須八幡塚古墳

那須神田城跡

那須神田城跡

なす風土記の丘資料館

なす風土記の丘資料館

 県の東部、茨城県境に位置する。2005(平成17)年10月、平成の大合併で馬頭町と小川町が合併して面積約193平方キロ、人口19000人あまりの町が誕生した。関東を代表する清流那珂川と八溝山地の豊かな自然に恵まれる。奈
良、平安時代に郡役所の那須官衙が置かれるなどの歴史をもつ。旧町を分断して

那珂川

那珂川

いた那珂川は新町名となり名実ともに町の象徴となった。国道293号が宇都宮市から茨城県へと横断、国道294号が南北に縦断するほか、東北部の国道461号などの道路交通網は農工商の振興と町民の住環境の向上と観光振興に大きく貢献する。自然と文化は両町の合併で発展の勢いに加速をもたらした。

遊ぶ

 那珂川沿いにある馬頭温泉郷は1860(万延元)年に源泉を発見。アルカリ性単純泉の「美人の湯」として親しまれる。湯量も豊富で11の旅館やホテルが点在、観光客でにぎわう。馬頭温泉郷の町営温泉の①ゆりがねの湯は旧馬頭町地区でゆりがねと呼ばれた砂金が取れたことに由来している。那珂川西岸のまほろばの湯はナトリウム硫酸塩・塩化物泉で毎日完全換水。町内は自然豊かで戸隠神社ではムササビと遭遇することがあり、神様の使い、幸福を呼ぶ神鳥のフクロウ像を祭る鷲子山上神社付近の山林では実際にフクロウを見ることもできるという。夏にはホタルを観察できる場所が多い。②ばとうホースランドでは乗馬体験やレッスンが楽しめる。③まほろばキャンプ場はテントのほかにオートサイトがあり家族連れに人気。那珂川町青少年旅行村はコテージやバンガローを備える。5つのゴルフ場は本格的ゴルフコースでファンを魅了する。

ゆりがねの湯

ゆりがねの湯

ばとうホースランド

ばとうホースランド

まほろばキャンプ場

まほろばキャンプ場

食べる

 清流那珂川を抱えているだけにアユ料理の味は格別。町内の魚屋や飲食店のほか季節には①観光ヤナ場で新鮮なアユを堪能できる。地元産のそば粉を使った②八溝そばも名店がそろう。霧ケ岳山村文化体験村や御前岩物産センターではそば打ちの体験もできる。町内9カ所の③農産物直売所では採れたてのダイコンやハクサイ、キュウリ、トマトなどの新鮮な野菜やイチゴやリンゴ、ナシ、クリなどの果物が好評。5月のたけのこ祭り前後には大きなタケノコが店頭に並ぶ。直売所ではお母さんの作ったまんじゅうやモチ、赤飯などもひっぱりだこ。また、こんにゃくやみそ、漬物などもそろう。中心部の道の駅ばとうのレストランでは馬刺しやイノシシ肉の「いのしし丼」などを味わうこともできる。季節限定の郷土料理のしもつかれもファンが多い。日本酒の銘酒のほかに地元で採れたサツマイモを使った焼酎もお土産品として好評。

観光ヤナ場

観光ヤナ場

八溝そば

八溝そば

農産物直売所

農産物直売所

ふるさと散歩

【散策コース】すくすくの森
 町民や来訪者に身近な自然や歴史・文化に手軽に触れてもらうのが、「すくすくの森」。馬頭の中心市街地の北に展開する。
 コースは5つ。馬頭小のわきから馬頭院を経て木漏れ日の中を進む馬頭院コース。広重美術館の裏から始まる乾徳寺コースは、山野草の宝庫。総合体育館

道の駅ばとう

コースは栗拾いもできる。イノシシがエサを探した穴もあるなど興味深い。313段の階段を上る愛宕神社コースは針葉樹が神秘的。駐車場やトイレなども整備されている。裏山気分で自然との出会いを体験できる。

わが街自慢の逸品

八溝ししまる
 町には田畑を荒らす害獣のイノシシが多い。それを逆手に取り野生イノシシの元気な肉を町の特産に仕立てた。肉加工のために食肉処理業の許可を取得、2009(平成21)年に県内初の加工施設をつくった。「八溝ししまる」のブランド名で、ハムなどの贈答品もある。町内の旅館やホテルなどで「いのしし丼」などアイデア料理が味わえる。

八溝ししまる

那珂川ものしり百科

●なかがわ歳時記
4月29日~5月5日 花の風まつり
5月1~3日 たけのこ祭
5月上旬 小砂焼春の陶器市
6月1日 アユ釣り解禁
10月第1日曜 ささら舞
11月第3土曜 鷲子山上神社夜祭

鷲子山上神社

鷲子山上神社

●水戸光圀
 旧馬頭町は武茂氏が支配していたが、戦国時代に茨城の豪族佐竹氏の領地となり、江戸時代は水戸藩支配下に。当地を訪れた水戸光圀に関する逸話も多い。
●金の里
 健武山神社に古代産金の里の石碑がある。奈良時代に東大寺の大仏建立に際して747(天平19)年に下野で金産出の記録があり、武茂の金とされる。
●境内に県境
 鷲子山上神社で大鳥居の中央が栃木と茨城の県境で案内表示もある。本殿は両県の文化財に指定されている。


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