佐野市長インタビュー 岡部 正英 市長

観光立市で活性化

佐野市は古い歴史を誇り、高速道路などの交通アクセスにも恵まれている。中心市街地には活性化の拠点「佐野未来館」がオープン。また、合併によって中山間地を擁するようになったため、市街地と連動した自然を活かした観光立市づくりを進めている。

新旧の見どころそろいB級グルメも充実
■市の紹介をお願いできますか。
岡部正英市長

岡部正英市長

 東京から車で約1時間、栃木県の南の玄関口です。平成17年2月に旧田沼町、旧葛生町と合併して新しい佐野市となりました。豊かな自然に恵まれ、歴史と文化の薫り高いまちです。気候は温暖で災害の少ないまちです。

■市の自慢になるものを紹介してください。

 関東三大師の1つ、佐野厄よけ大師は年間約200万人を集めます。新名所としては佐野プレミアムアウトレットがあり、年間600万人から700万人がみえています。東京方面から東北自動車道で来ると最初の山が万葉集にも歌われた三毳山で、カタクリの群生地と大文字焼きでも有名です。唐沢山は藤原秀郷の居城といわれており、これだけの規模の山城は東日本随一といわれます。人物では田中正造の生家があり、百回忌の平成24年には記念行事を検討しています。また、司馬遼太郎が終戦まで青年将校として佐野に住んでいたことから、碑が植野地区公民館に建立されました。
 B級グルメでは佐野ラーメン、大根そば、いもフライなど。桜あんぱんや味噌まんじゅう、地酒も有名です。伝統文化では天明鋳物、ひな人形などがあります。昨年オープンしたまちなか活性化ビル「佐野未来館」には、本市出身で人間国宝である田村耕一氏の陶芸館や市民ギャラリー、チャレンジショップ、市の観光関係の部署も併設しています。

自然を活用し、さらなる観光振興へ
■観光立市を打ち出していますね。

 佐野は歴史文化、産業、教育、芸術芸能などが豊富なところです。合併によって森林が60%を占めることになりましたので、自然を活かした観光にも取り組みたいと思っています。唐沢山は見晴らしがすばらしく風光明媚です。北関東自動車道も全線開通し、東北道のスマートICも完成、さらに利便性が増しました。
 平成22年度に策定した観光立市推進基本計画では観光入り込み数1000万人を目指しています。観光資源の整備や人材育成、効率的なPRを図るほか、観光産業の振興と地域活性化のため、新たな「さのブランド」の追加認証を行っていきます。

佐野田沼IC周辺の開発に力入れる
■中長期的な施策についてはいかがでしょうか。
佐野市庁舎

佐野市庁舎

 総合計画の中期計画に入ったところです。①地域の特色を活かした快適なまちづくり②やさしくふれあいのある健康福祉づくり③魅力と活力ある産業づくり④豊かな心を育む教育・文化づくり⑤市民みんなでつくる夢のあるまちづくりの5項目を掲げて取り組んでいます。
 長期的な計画としては、佐野田沼IC周辺の開発事業があります。県のフードバレー構想との連携、研究・開発分野、特殊技術や精密機器企業などの誘致を目指します。また、国の港湾整備に伴って、内陸の利便性のいいところに〝陸の港〟をつくる「内陸型コンテナターミナル」構想がありますが、これをぜひ誘致したいと考えています。災害も少なく広い土地もある。2本の高速道路が通っている立地条件を大いに活用しPRしていきます。

市民との協働で「とどけます 佐野ごころ」
■市民を元気にするために取り組んでおられることはありますか。

 「とどけます 佐野ごころ」のブランドネームの基、芸術文化、食文化、歴史遺産の一層の振興のため、これまで培った人脈を活かしたトップセールスに力を入れています。また、全市民が観光大使との考え方で、希望者には佐野市のPR名刺を無料で配布しています。
 中心市街地では先ほど申し上げた佐野未来館と、既にある「まちなかサロン」、佐野駅前交流プラザ「ぱるぽーと」などを連動させて活性化を図ります。道の駅「どまんなかたぬま」がにぎわっていますし、カタクリやヤシオツツジの群生などすばらしい自然もあるので観光はさらに盛んになると思います。中山間地はイノシシが増えて駆除も課題です。これを逆手にとって県や周辺自治体と協力してイノシシ肉の加工施設の事業化ができないかとも考えています。このほか、この夏までに小中学校の全教室にエアコンを設置します。未来を担うこどものために、教育環境の整備とこどもの健全育成に努めていきます。

■中小企業と大企業に対する支援策などをお聞かせください。

 中小企業向けの融資預託事業は、運転資金、開業資金、設備資金などを設けて力を入れています。また、昨年度大変好評であった、市、商工会議所、商工会、JA佐野の連携によるプレミアム付き商品券発行事業を継続して実施します。その他、経営相談員の設置等、企業活動の支援を行っていきます。

ふるさと散歩

【伝説】鉢の木物語
  一人の旅の僧が、雪の降る中、山本の里(現佐野市)で貧しい農家に一夜の宿を求めた。貧しい暮らしだった家の主人は、大切な鉢の木を切って薪にし、僧に暖を取らせる。
 僧が家の主人にその素性を尋ねると、佐野源左衛門常世と名乗り、「いざ鎌倉」の折には真っ先に駆けつけ、命を懸けて戦う覚悟を語る。

願成寺に残る佐野源左衛門常世の墓

願成寺に残る佐野源左衛門常世の墓

この僧は実は鎌倉幕府の前執権・北條時頼だった。鎌倉に戻った時頼は、諸国の武士に招集をかけた。言葉通り、常世はいち早く駆けつけた。時頼はその忠節を褒め恩賞を与えたのだった。
 佐野市鉢木町の願成寺には佐野源左衛門常世の墓が残っている。


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