西方物語

豊かな水と緑。いにしえの伝説が語り継がれながら発展する「ふるさと西方」。栃木市との合併は、西方町という古い上着を脱いで、新生「にしかた」のまちづくりを始めること。栃木地区の一員となって、「故郷・西方」にさらに磨きをかけて「住みよい地域社会」をつくる。

見る

 元地区の中新井氏宅の①しだれ桜は県の名木百選の一つで、町指定文化財。室町時代に植えられ、推定樹齢は約550年。毎年4月上旬には流れるような枝にピンクの花が咲きそろい風物詩となっている。金崎の桜は、県の景勝百選。思川の堤上約1キロに続く約200本のソメイヨシノの桜並木。昭和天皇のご成婚記念として1925(大正14)年に植えられた。推定樹齢約800年の真上のケヤキ。洞雲寺の大銀杏は推定年齢約250年。寺門の横にあり、秋には見事な黄葉を見せる。源平合戦のころ、世を捨て住みついた夫婦が、行方不明になった一人娘の成長を願って植えたとされる。約400年前、西方城主藤田能登守が小倉川(思川)に造った②小倉堰。取水が容易になり豊かな実りがもたらされた。現在の堤は1954(昭和29)年に完成した。③愛宕神社は1607(慶長12)年に、同じく能登守の命により建立された。社殿には精巧な彫刻が施されている。

しだれ桜

しだれ桜

小倉堰

小倉堰

愛宕神社

愛宕神社

学ぶ

 古くから伝説とともに残る①真名子の八水。日光開山の祖・勝道上人が朝夕汲んではお釈迦様に供えたという「別所の閼あ伽か水」、弘法大師が、仏具の一種の独鈷(どっこ)で加持祈祷して清水に変えたという「別所の独鈷水」など八水伝説があり、町のシンボルの一つになっている。②八百比丘尼堂(おびくにどう)には八百比丘尼伝説の主人公・八重姫が尼になった自分の姿を彫った八百比丘尼尊像が安置される。お堂の天井には、動植物が色彩豊かに描かれている。宇都宮領との境界を示す宇都宮領境界標。当初は金崎駅前にあったが、愛宕神社の雨よけを造るときに現在の場所に移した。明治維新のころ、やりたい放題だった水戸天狗党が「宇都宮には手を出さない」と約束し建てたといわれる。当時の金崎一帯が宇都宮領だったことが分かる。江戸時代末期に画聖として活躍した③田崎草雲墓地が真名子にある。1987(昭和62)年に町の文化財に指定された。

真名子の八水

真名子の八水

八百比丘尼堂(おびくにどう)

八百比丘尼堂(おびくにどう)

田崎草雲墓地

田崎草雲墓地

 県の南西部に位置し、北は鹿沼市、東は思川を挟んで壬生町、南西は栃木市に接している。人口は、7000人弱、面積は、32平方キロ。1955(昭和30)年4月に、江戸時代には「西方五千石」といわれた米作地帯の旧西方村と、山間地の伝説の里旧真名子村とが合併して西方村となり、さらに1994(平成6)年10月1

合併調印式

合併調印式

日、町制施行で西方町になる。「西方」という名は、南北朝時代に城を構えた領主が、宇都宮の西に位置するところから、西方と名乗ったことに端を発すると伝えられる。基幹産業は農業で、なかでもイチゴと米は、県内でも有数の生産地。2011(平成23)年10月の栃木市との編入合併へ向けての協定調印式を2010(平成22)年11月10日に行った。

遊ぶ

 ①西方総合公園(西方ふれあいパーク)は、水を愛し、水に親しみ、水とともに遊ぶことなどをテーマにしている。展望や林間、噴水広場、花の滝、スポーツなど各ゾーンとバーベキュー広場がある。思川の河川敷にある小倉のかっぱ広場。かっぱ伝説があったことからかっぱの壁画②かっぱ伝説モニュメントがある。ユーモラスな表情のかっぱが描かれている。2面の野球場もあり、さわやかな川面の風を感じながらのスポーツや散歩は、心や体をリフレッシュさせる。町内の4つのゴルフ場は、緩やかな丘陵と林間風の景観を持ち、従来の概念を破り、ゴルフテクニックの真価が問われるコース。マスターズ通算4回優勝のアーノルド・パーマーが設計した戦略に富むコース、歴史と関東外輪山の自然の中のコースなど、独自の特徴を持っている。③八百比丘尼公園は、季節感たっぷりの景色と、専用の池ではメダカの群れを見ることができる。

西方総合公園(西方ふれあいパーク)

西方総合公園(西方ふれあいパーク)

かっぱ伝説モニュメント

かっぱ伝説モニュメント

八百比丘尼公園

八百比丘尼公園

食べる

 町農産物加工組合「おとめ会」は、町の女性グループ。地産地消をモットーに新鮮な食材を手づくりで加工している。①地場産農産物を使ったいちごジャム・ジュース、かりんジャム、ゆずのマーマレードのほか、100%②西方産こしひかりと大豆を使った「おとめ味噌」や漬物、梅干し、日替わりおとめ弁当も好評だ。この地は江戸時代から西方五千石と呼ばれる米どころ。町とJA上都賀は「にしかた米消費拡大協議会」を設立。町民からネーミングを募集した西方産こしひかり「桜おとめ」を販売する。国道293号沿いの道の駅「にしかた」には農村レストラン「ふるさと一番」、農産物直売所「ふれあいの郷」、物産館「さくら」がある。新鮮な牛乳とイチゴ「とちおとめ」で作ったジェラートは好評。日曜日営業の③真名子ふるさと直売所。ログハウス風の建物で、季節ごとの野菜を中心にシイタケ、こんにゃく、そば粉などを販売する。

地場産農産物を使ったいちごジャム・ジュース

地場産農産物を使ったいちごジャム・ジュース

西方産こしひかり

西方産こしひかり

真名子ふるさと直売所

真名子ふるさと直売所

ふるさと散歩

【自然】真上のケヤキ
 西方町真上地区にある壮大な真上のケヤキ。真上公民館近くの稲荷神社境内にある岩の上に根を張っている。高さは25メートル以上もあろうかと思われる。
 源平合戦のころ、大木隆真という武士が、妻とともに世を捨ててこの土地に住み着いた。夫婦には嘉代という姫があり、大変かわいがっていたが、8歳のある

樹齢800年以上とみられる「真上のケヤキ」

樹齢800年以上とみられる
「真上のケヤキ」

日、突然行方が分からなくなってしまう。夫婦は懸命に探したもののどうしても見つからなかった。夫婦は小さな祠を建て、ケヤキの木を植えて娘のために祈ったとされる。
 樹齢800年以上とみられ、西方町指定文化財。栃木県の名木百選にも選定されている。

わが街自慢の逸品

ジェラート
 イチゴは県内では有数の生産地として知られる。そのイチゴ「とちおとめ」をたっぷり使い、新鮮な牛乳に混ぜ合わせたオリジナルジェラートは瞬く間に人気商品となった。県内17番目に登録された道の駅にしかたでは、新鮮な地元素材を使った手作りのジェラート11種類が楽しめる。

ジェラート

西方ものしり百科

●にしかた歳時記
4月第2日 金崎のさくら祭り
5月上旬 シンボルロードの藤まつり
7月15日 水神社大祭
11月3日 大沢田太々神楽
11月 にしかたいきいきふれあい祭り
●甘露寺の多羅葉(はがきの木)
 和名のタラヨウ(多羅葉)は、葉の裏に傷つけるとその部分が黒くなることを利用して文字が書ける。
 戦国時代に武士が便りに使ったという。

キララちゃん

キララちゃん

●鮎のごった煮
 水神社の祭りに集まった人に赤飯とともに珍しい鮎のごった煮が振る舞われる。
 江戸時代につるし鍋の蓋をまな板がわりにしてアユのブツ切りなどを入れた味噌汁が起源。
 割り箸1本で食べる風習が現在でも残る。
●キララちゃん
 2009(平成21)年11月にオープンした道の駅にしかたのイメージキャラクターの名前。
 イチゴを擬人化し、西方産コシヒカリを手に持っている。


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