上三川物語

田川や鬼怒川など水に恵まれ、旧石器時代や縄文時代の遺跡、河内郡の役所と考えられる遺跡が存在するなど、古代から確かな歩みを続けてきた。
上三川城址は公園として整備されている。自然を活用した農業に加えて、日産自動車栃木工場の進出で田園工業都市の色彩も強める。

見る

 上三川城址公園は中世の平城跡。桜の季節は花祭りが開催され、ツツジも見ごたえがある。季節の草花を観察しながら森林浴ができる①磯川緑地公園。木道などが整備された遊歩道は片道約1.4キロと子ども連れでも気軽に楽しめる。夏は、ホタルが見られる。福徳寿を授ける七福神。弁財天(長泉寺)寿老人(西念寺)恵比寿(宝光院)毘沙門天(見性寺)布袋尊(延命院)大黒天(善応寺)福禄寿(普門寺)は上三川七福神めぐり。車で移動なら35分弱の距離。街中にある②からくり時計「希望の響き」は上三川の地名の由来になった鬼怒川、江川、田川の3つの川を3本の柱で表現。四方に夕顔の実(かんぴょう)をデザインした「時計」があり、午前7時、10時、正午、午後3時、6時の一日5回、音楽と一緒にからくり人形が動く。白鷺神社には大きさ日本一の③干支絵馬と日本一の平和の剣がある。また、現在は採掘禁止の日光石でつくられた鳥居がある。

磯川緑地公園

磯川緑地公園

からくり時計「希望の響き」

からくり時計「希望の響き」

干支絵馬

干支絵馬

学ぶ

 上神主・茂原官衙遺跡からは、奈良時代ごろの①人名文字瓦が数多く出土。当初、寺院跡と考えられたが、飛鳥時代後期7世紀後半から平安時代前期の9世紀にかけての古代の役所(官衙)跡と判明した。多数の人名文字瓦が確認されたのは全国的にもまれだ。鎌倉時代以降、城下町として栄えた上三川。②上三川城主横田家累代の墓は善応寺に、今泉家の墓は長泉寺にあり、上三川400年の歴史を感じることができる。満願寺の楼門は、木の組方などに室町時代のおもかげを残しているが、全体的な特徴から江戸時代初期の建物と考えられている。1957(昭和31)年に茅葺から瓦葺に、2004(平成16年)には銅板葺に改められた。③日産自動車栃木工場は、高級車やスポーツカーを生産する車両組立工場。全長6.5キロの高速耐久テストコースのほか、さまざまな環境・条件を想定した各種テストコースがあり、日産の国内工場では最大の面積を誇る。

人名文字瓦

人名文字瓦

上三川城主横田家累代の墓

上三川城主横田家累代の墓

日産自動車栃木工場

日産自動車栃木工場

 県南東部に位置し、県都宇都宮市の南に隣接、西と南は下野市に接する。1955(昭和30)年、上三川町、本郷村、明治村が合併し、新上三川町となり、平成の大合併では論議の末に、町存続の道を選択した。東に鬼怒川、中央に江川、西よりに田川が南流、広々とした田園地帯を形成する。古くから交通の要衝で現

しらさぎ公園

しらさぎ公園

在も 北関東自動車道をはじめ、町中央を新4号国道が南北に縦貫、国道352号、県道真岡・上三川線が東西に横断するなど道路交通網は万全。鉄道もJR宇都宮線石橋駅が町境にあり至便。町内全域が都市計画区域に指定されている。1960年代の日産自動車誘致とともに農業を中心とした町から、工業の町へ発展の道をたどる。

遊ぶ

 蓼沼親水公園は、鬼怒川の自然を生かした4つのゾーンがあり、子どもからお年寄りまで楽しめる。①親水ゾーンは、水遊びでき、いろいろな遊具のある冒険の森。「鑑賞」はバリアフリーに配慮した八つ橋、季節感を感じながら花々を鑑賞できる。「多目的」は芝生広場。イベントやグランドゴルフなどに利用できる。「保全観察」は谷川の環境を復元。水鳥や野鳥が観察できる。②水環境神主公園は、県営水環境整備事業で水辺空間を整備。「わんぱく」「ふれあい」「いきもの」の3つのゾーンがある。2007(平成19)年4月にオープンした③田川ふれあい公園(かみのかわパークゴルフ場)には、三世代で楽しめるニュースポーツ「パークゴルフ」の本格的なコースが2つ。のどかな風景に囲まれながら、家族全員で楽しめるバーベキュー広場、田川を望みながらホッと一息つける川べり広場などの施設もある。鬼怒川と田川沿いの2つのサイクリングコースも健康づくりに最適。

親水ゾーン

親水ゾーン

水環境神主公園

水環境神主公園

田川ふれあい公園

田川ふれあい公園

食べる

 特産のかんぴょうの実を材料とした食品があり、ゆうがお、メロン、キュウリなど7種類をしょうゆ漬けにした①なかよし漬も好評。白あんの中に刻んだ甘煮かんぴょうを入れ、ふくべ(ユウガオ)の形に焼いたまんじゅう②福来べーさん。いちごあん、こしあんの中に細かく刻んだ甘煮かんぴょうを入れたロールケーキ③夕顔おとめ。これら3つの食品はすべて特産品開発事業から生まれた製品だ。一方、地域には鬼怒川、田川、江川など一級河川が流れており、昔から農業が盛ん。都市近郊型農業が主でイチゴ、トマト、ニラ、アスパラガスなどを栽培している。町はニラの一大産地で、県内でもトップクラスの収穫量を誇る。また町内で生産されるアスパラガスは、すべてグリーンアスパラガスで、ビニールハウスによる半促成栽培。アスパラリンのブランド名で市場に出荷。

なかよし漬

なかよし漬

福来べーさん

福来べーさん

夕顔おとめ

夕顔おとめ

ふるさと散歩

【散策コース】上三川七福神巡り
 JR石橋駅を出発点に、上三川町内にある七福神を巡る散策コースが、栃木県勤労者山岳連盟会長の増田俊雄さんが書いた「とちぎ『里・山』歩き」(随想舎刊)に紹介されている。
 コースは西念寺の寿老人、宝光院の恵比寿、見性寺の毘沙門天、延命院の布袋

石橋駅に最も近い西念寺の「寿老人」

石橋駅に最も近い西念寺の「寿老人」

尊、普門寺の福禄寿、善応寺の大黒天、長泉寺の弁財天をたどる。それぞれ比較的近くにあるので歩きやすい。所要時間は約3時間。
 上三川七福神巡拝用の色紙(500円)が購入でき、御朱印(各200円)も押してもらえる。また、周辺には天満宮や白鷺神社などもあり、足を伸ばしてみると楽しいだろう。

わが街自慢の逸品

千瓢ふくべ一刀彫り
 ゆうがお(かんぴょう)の実・ふくべを乾燥させると、表面が堅い木のようになり、中は空洞になる。このふくべに日光彫、鎌倉彫などの技法を取り入れ、独特な工芸品として完成させる。自然の調和で完成したものは、同じ柄の一刀彫が施されても世界にたった一つしかない芸術品。

千瓢ふくべ一刀彫り

上三川ものしり百科

●かみのかわ歳時記
2月中旬 しらさぎ駅伝競走大会
7月中旬 かみのかわ町おこし夏まつり
7月下旬 夕顔サマーフェスティバル
8月下旬 サンフラワー祭り 愛宕神社奉納相撲
11月上旬 ふるさと祭り
11月中旬 ふれあい健康福祉まつり

子ども奉納相撲

子ども奉納相撲

●宇都宮貨物ターミナル駅
 宇都宮線(東北本線)に所属する日本貨物鉄道(JR貨物)の貨物専用駅。栃木県を中心に
 北関東の鉄道物流の拠点となる駅。
●愛宕神社奉納相撲
200年もの歴史を持つ。江戸時代中期、疫病が蔓延した際、神社に祈り、相撲を奉納したところ疫病が静まったという言い伝えから始まる。現在は子供相撲として奉納されている。
●しらさぎマラソン大会
日産自動車栃木工場を走る大会で毎年12月第1日曜日に開催。10キロと5キロコースは、工場のテストコースを一部走路としている。


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