那須塩原市長インタビュー 栗川 仁 市長

農観商工の力を結集

便利な交通環境、塩原温泉などの観光資源、豊かな自然に恵まれる那須塩原市。少子高齢化の中でも人口が増え続けている。「自然」を基本にしたまちづくりを掲げ、農業、観光、商工業を有機的につないだ新たな時代の産業創出に向けて知恵を集める。

本州で1位を誇る生乳の生産高
■市の概要をご紹介ください。
栗川仁市長
栗川仁市長

 平成17年1月1日に旧黒磯市、旧西那須野町、旧塩原町が合併して誕生しました。東北新幹線、JR東北本線、国道4号、国道400号、東北自動車道が通る県北の交通の要衝です。年々人口が増加し、県北一の人口規模を誇ります。

■市の自慢になるものを挙げてください。

 基幹産業は農業で、特に酪農では生乳の生産高が本州1位です。県の食の回廊事業でも、県道矢板那須線の関谷から那須町までを「那須高原ミルク街道」としてPRしています。温泉も自慢です。塩原温泉は数年前、開湯1200年の式典を開きました。明治から大正にかけて尾崎紅葉や谷崎潤一郎などの文豪たちが訪れ、その足跡も残ります。古くからの湯治場の板室温泉、秘湯の三斗小屋温泉も有名です。那須野ケ原開拓に大きな役割を果たした那須疏水は、琵琶湖疏水、福島県の安積疏水と並んで日本三大疏水の1つです。農業用水、飲料水として地域の発展を支えましたが、最近は、疏水を利用した小電力発電も行われています。

協働のまちへ「車座談議」を展開中
■現在、まちづくりの中で力を入れている施策をお話しください。

 「協働のまちづくり」を行政の柱に据え、15の公民館単位に住民との「車座談議」を展開しています。地域の現実的な課題を自分たちでどう解決するかを考えてもらい、事業を希望する場合は市で対応します。2、3年かかってもいいので、じっくり取り組んでいただきたいと思います。車座談議には市から部長、課長、担当の職員が出席し、市民目線で一緒に地域を考え、継続的に地域を支える体制をとっています。これが効果的に動き出しています。

■合併を振り返るとどうでしょう。

 合併に当たり、10年間の振興計画を立てました。前期の5年は一体感の醸成を図ることが中心で、旧市町で取り組んでいたものを完了させていく期間だったと思います。後期計画の策定に入るため、市民代表30人による審議会を設置しました。公募委員の中には、東京から移り住んできた人もいます。審議会設置に際しても事前に市民1万人のアンケート調査を行いました。市民の意見を十分取り入れながらやりたいと思っています。

地域の特性活かしたブランド認定
■中長期的な振興計画などありましたらお話しください。
那須塩原市庁舎
那須塩原市庁舎

 「人と自然がふれ合う、やすらぎのまち 那須塩原」を将来の都市像として考えています。この地域の自然環境は、将来に引き継いでいくべきものですので、全地域の動植物の調査を進めて書籍化しました。開発も自然環境を守りながらやりたいと思っています。
幸い、交通などの条件に恵まれ、大企業も進出し、工業団地はほぼ埋まっています。また、黒磯・板室ICが開通し、アウトレットが進出してにぎわっています。これらをいかに地域活性化に結びつけるかが課題ですので、厳しい社会情勢の中でもう一度、地域産業を考えようと、合併5周年記念事業の1つとして産業振興大会を開きました。自然を活かし農業を重点に全体を活性化させるとなると、農業、工業、商業、観光を有機的に結びつけなければなりませんので、農観商工連携を進める協議会を設置しました。地域の特性を発揮できるブランド品の認定制度を作り、まず、9品目を認定しました。

黒磯駅前活性化若い人の力に期待
■地域を元気にする取り組みは。

 市内にはJR東北本線の西那須野駅、那須塩原駅、黒磯駅があります。那須塩原駅前は土地区画整理事業など新しいまちづくりが進んでいます。西那須野駅と黒磯駅前については、新幹線に客を奪われ、冷え込んだ状況にあります。西那須野駅前は市街地活性化の改善事業をやりました。黒磯駅前は計画がなかなか進まない状況でしたが、駅前の若い人たちが活性化委員会を立ち上げ、エコを視野に入れた「もったいない市」や、お店の電気を消し、歩行者天国をキャンドルで飾るキャンドルナイトなどに取り組んでいます。今後、若い人の力を借りながら、駅前整備を進めたいと思っています。

■中小企業と大企業に対する振興策をお話しください。

 工業団地は満杯で新たな団地を造成することはできませんが、進出したいという企業に対する支援は行っています。中小企業には融資制度を設けています。また、商工会を通じて側面から支える支援も行っています。中小企業の活力が出ないとまちの活力も出ませんので、商工連携に大手企業も参加してもらって、地場産業を再度確立しなければならないと思っています。


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