塩谷物語

約60%が山林原野の塩谷町は高原山を中心とした自然に恵まれる。大自然は全国有数の湧水量を誇る尚仁沢湧水をもたらし、人々を活気づける。
町の西には鬼怒川が流れ、佐貫観音や籠岩の奇岩が見られる。豊かな自然に、工夫を重ねて、着実にしっかりと発展を続ける。

見る

 尚仁沢川沿いの遊歩道を進むと10数カ所から水が湧き出る尚仁沢湧水群に出会う。湧水量は1日に65000立方メートル、水温は11度。全国名水百選の1つ。尚仁沢の上流に①イヌブナ自然林がある。緩やかな傾斜地に群生するのは全国的に数少ない。東古屋湖の上流にある大滝。新緑の春、紅葉の秋の渓谷は絶景。またこの付近は、モリアオガエルの生息地でもある。釈迦ケ岳、中岳、西平岳が連なる高原山。登山道には季節にはゴヨウツツジが咲き美しい。釈迦ケ岳山頂には釈迦如来像が祭られ、とちぎ景勝百景に認定されている。鬼怒川に奇妙な形をした大小の無数の岩が突き出している。特異な風景を構成する、とちぎの自然百選の②籠岩だ。弘法大師による一夜の作と言われる③佐貫観音。岩面の中ごろに大日如来が彫られており、国重要文化財に指定されている。稲荷神社の神木の船生のヒイラギ。950年前に献木され、県内でも稀な大木だ。県指定の天然記念物。

イヌブナ自然林

イヌブナ自然林

籠岩

籠岩

佐貫観音

佐貫観音

学ぶ

 ①星ふる学校「くまの木」は、1999(平成11)年3月に124年の歴史に幕を閉じた旧熊ノ木小学校を利用した施設。木造校舎を宿泊型体験学習施設へと変えた。季節限定と年間を通しての体験学習のメニューがある。古い商家の石蔵を美術館にした②和気記念館。「幽玄の世界」を表現した洋画家・和気史郎の生家を改築したもので、大谷石造りの1号館と2号館には初期の抽象から円熟期の風景画、パステル画、裸婦画など70点あまりが展示されている。日光北街道は、今市を起点に大田原をつなぐ約40キロの道。船生は鬼怒川の最上流の川岸として賑わった。船着場跡や船着場碑、③追分石、北街道のなごりの道などが残る。北街道は、松尾芭蕉も歩き、玉生地区に1泊したと弟子である曾良の「旅日記」に記されている。岩戸別神社は、1775(安永4)年建立と伝えられる旧船生村の村社。本殿を囲むように樹齢100年以上のスギ・サワラが約200本茂る。

星ふる学校「くまの木」

星ふる学校「くまの木」

和気記念館

和気記念館

追分石

追分石

 1957(昭和32)年に玉生、船生、大宮の3村が合併して現在の町域をもつ塩谷村が誕生。1965(昭和40)年に町制施行。東北自動車道矢板ICから約5キロの距離にあり、町中央を国道461号が横断、南北に走る主要地方道藤原宇
都宮線と交差する。北部にある高原山は、日光国立公園の一部で、林産資源に

塩谷町のシンボル「尚仁沢湧水」

塩谷町のシンボル「尚仁沢湧水」

富み、河川は一級河川である荒川が町の東側を、鬼怒川が西側を流れ、中部から南部にかけて肥沃な農業地帯をつくる。荒川上流には全国名水百選の尚仁沢湧水がある。最も高いところは、町の最北端高原地区にある栃木百名山の釈迦ヶ岳で海抜1794.9メートル、最も低いところは、肘内地区の海抜181メートルである。

遊ぶ

 県道63号を川治温泉方向に向かうと東荒川ダム公園内に①尚仁沢はーとらんどがあり、地元農産物や物産品を購入でき、イベントも開催されている。また、尚仁沢源泉のリアルタイムモニター映像を楽しめる。さらにその隣には湧水と親しめる公園の名水パークがある。町が誇る名水「尚仁沢湧水」を源泉から直接導水している。近くには児童遊園が整備されていて、家族連れで楽しめる。ここからさらに進んでいくとあるのが町営豊月平牧場。春から秋にかけてたくさんの乳牛を見ることができる。②船生かぶき村は、初代座長「三咲てつや」が旗揚げした劇団暁の常設劇場。演劇や芝居、歌謡ショーなど大衆芸能が人気を呼んでいる。春は桜・つつじ、秋は彼岸花の名所となる大平崎公園にある③自然休養村センターは、多目的グラウンドや野外ステージ、バーベキュー用の炊事場、木造りのバンガローがあり、家族や仲間と楽しめる。

尚仁沢はーとらんど

尚仁沢はーとらんど

船生かぶき村

船生かぶき村

自然休養村センター

自然休養村センター

食べる

 尚仁沢湧水は「全国名水百選」の中でもおいしい水として1997(平成9)年には、全国37都道府県から選ばれた水の中で第1位の認定証を受けた。その湧水を商品化したのが①尚仁沢湧水の郷。天然のアルカリイオン水だ。湧水を使って今後の産地化を目指しているのが②水耕トマト栽培。従来からの土耕栽培のトマトも味がおいしいと評判。地元で栽培された有機大豆と湧水で作った尚仁沢豆腐も味が自慢。町内のスーパーや農産物直売所のほか各市場へも送り出されている。鬼怒川の籠岩近くで、8月から10月末にかけて③観光やなでアユが楽しめる。ニホンザルによる「アユ掴み」もみることができる。町の南の玄関口、鬼怒川沿いにあるポケットパークには、「ふれあいの里しおや」がある。地元の農産物の直売所のほか、こだわりのそばが味わえる農村レストランを併設。地域のお母さんたちがそばを手打ちする様子も見学できる。

尚仁沢湧水の郷

尚仁沢湧水の郷

水耕トマト栽培

水耕トマト栽培

観光やな

観光やな

ふるさと散歩

【伝統芸能】風見神楽
 風見神楽は塩谷町風見地区に伝わる代々神楽。毎年4月の第1日曜日に、東護神社の春の例大祭に奉納されている。栃木県の代々神楽の中でも古い歴史と伝統を誇るものの一つ。栃木県無形民俗文化財に指定されている。
 演目は「総礼の舞」から始まり、「大黒の舞」まで36座で構成され、神田流岩

東護神社の春の例大祭に奉納されている「風見神楽」

東護神社の春の例大祭に奉納されている「風見神楽」

戸神楽の流れをくんでいる。その中心演目となっているのは、古事記に描かれた天照大神の天の岩戸隠れの神話が元になった「岩戸の舞」で、勇壮、壮大に演じられる。
 笛、太鼓、踊りなどすべて口伝。神社の氏子たちによって、古式そのままに厳格に伝承されている。

わが街自慢の逸品

しめ縄
 神祭具で、宗教上の意味がある紙垂をつけた縄。神域と現世を隔てる役割を意味するという。正月の縁起物としても飾られる。塩谷町は県内最大の産地。町の伝統産業で、夏に稲を刈り取り、稲わらの青さを保ちながら、乾燥させる。ゴボウ締め、玉締めなど東京や宇都宮、地元の業者に販売されている。

しめ縄

塩谷ものしり百科

●しおや歳時記
4月第1日曜 東護神社 風見の神楽
8月15日 岩戸別神社餅つき、ふるさと納涼祭
12月中旬 しおや湧水の里マラソン大会

塩谷町の特産品、キク

塩谷町の特産品、キク

●ユリピー(愛称)
 町のシンボルキャラクター。本名、山野ゆり。町所属のイベントコンパニオン。高原山の中腹で毎日尚仁沢湧水の水を飲んで育った、明るさと元気が持ち前。
●星ふる学校「くまの木」
 2000(平成12)年度冬季の全国「星がよく見える場所」調査で、旧熊ノ木小学校跡地で観測したデータが全国1位となった。そこから星がたくさん見える夜空を表現した。
●しおやのキク
 県内随一の生産量を誇り、ブランド化しているしおやの“菊”。稲作からの転換をきっかけに品質改良を繰り返し、年々競争力をつけて生産性を向上させた。輪菊・スプレーマム・ピンポンなどが出荷されている。


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