栃木市長インタビュー 鈴木 俊美 市長

新市の一体感を醸成

1市3町の合併によって新しい栃木市が誕生してから1年あまり。人口、世帯数が県内4位の大きな市となった。自然、歴史、文化など、それぞれのまちがこれまで培ってきた特色を基礎に、合併によるスケールメリットを活かした新市づくりに取り組む。

自然や歴史が息づき見どころ豊富
■栃木市の概要を教えてください。
鈴木俊美市長

鈴木俊美市長

 平成22年3月29日に、旧栃木市、大平町、藤岡町、都賀町の1市3町が合併して新しい栃木市が誕生しました。人口、世帯数は県内4位です。また、平成23年10月1日には、西方町との合併も決まりました。市域は南北に細長く、北西部には太平山や三毳山といった風光明媚な山々が連なり、南東部には広く関東平野が開けています。特に南端には4県にまたがる約3300ヘクタールの広大な渡良瀬遊水地があります。

■市内で誇れるものを挙げていただけますか。

 市の中央部にあり、県立自然公園にもなっている太平山は、春は桜のトンネル、初夏は石段沿いのアジサイ、秋の紅葉というように、四季それぞれに楽しめます。また、由緒ある神社仏閣を訪ねるのもいいでしょうし、南山麓にはぶどう団地などのレジャー拠点も点在しています。
 渡良瀬遊水地は巷の喧騒を忘れさせてくれる異空間で、貴重な自然の宝庫です。遊水地の中には450ヘクタールの谷中湖があり、ウオータースポーツ、スカイスポーツも盛んです。春の風物詩のヨシ焼き、バルーンフェスタ、Eボートレースなど、大自然の中で多くのイベントが展開されています。
 市の中心部は江戸時代に例幣使街道の宿場町として栄え、また明治時代にかけては巴波川の舟運による物資の集積地として栄えました。大通り沿いや巴波川沿いには当時をしのばせる街並みが残り、安らぎと潤いの空間を醸し出しています。往時の繁栄を伝える豪華絢爛な江戸型人形山車や喜多川歌麿の逗留を裏付けるような貴重な作品が確認されていて、歴史・文化面での貴重な財産になっています。

旧市、町の資源活用し滞留型の観光
■まちづくりで力を入れているところは?
 また、中長期的にはどのようなまちにしたいとお考えですか。

 市全体の一体感を醸成し、合併のスケールメリットを十分活かせるような体制構築に努めています。また、地域医療の中核をなす下都賀総合病院の経営再建に向け、行政としてできる最善の対応を行っています。さらに、市民主権、市民協働のまちづくりを目指し、積極的なまちづくり活動を支援するため、個人市民税の1%を目安とした支援体制の構築を目指しています。
 今後については、街中を流れる巴波川や雄大な自然を有する渡良瀬遊水地の環境を活かして、「川の駅」や「水辺カフェ」、カヌーやボートなどの親水性スーツの拠点整備を行い、「かわまちづくり」に取り組みたいと思っています。旧市、町がそれぞれに持っている豊かな観光資源を十分に活かし、通過型でなく滞留型の観光都市の整備を図ることが重要です。
 市を南北に貫く鉄道交通を活かし、コミュニティーバスやデマンドタクシーなどの地域交通機関との連携で、高齢者などの交通弱者にもやさしいまちを目指します。また、ホームドクター制度の構築や医療、保健、介護の連携による在宅医療システムを、医師会、歯科医師会などとの連携、協力のもとで構築していきます。
 北関東自動車道の全線開通に伴い、高速自動車道路の結節点としての地の利を生かし、物流機能の集積を図っていきたい。加えて本市は、農業都市でもあり、市内には食品関連企業が多く立地しています。県のフードバレー構想とタイアップしながら、食に関する産業のさらなる振興を図りたいと考えています。

花火大会や運動会で新市を盛り上げ
■市民を元気にするためにどのようなことに取り組んでいますか。
栃木市庁舎

栃木市庁舎

 まず、新生栃木市民の一体化の醸成とそれを象徴するイベントとして、渡良瀬遊水地での花火大会の復活や、市内全域の市民が一堂に会しての「市民運動会」の開催を目指しています。新たな夢をはぐくむため、チャレンジショップや創業塾など、やる気のある企業家を支援する体制を構築します。栃木市は学生のまちでもあることから、本市に住み、通う若者が自由に集い、生き生きと活動できる「(仮称)自遊広場」を街中に整備します。

創業意欲高める企業向け施策を展開
■創業意欲高める企業向け施策を展開

 各企業の操業意欲が高まるような施策を推進します。中小企業向けには、金融面から支援するため、各種の設備資金や運転資金制度融資を設け、企業が県信用保証協会に支払う保証料を全額補助しています。企業立地に関しては、固定資産税相当額の助成制度などのほか、開発許可や農地転用にかかわる事務手続きが円滑に進むよう支援を行っています。今後は企業立地奨励補助金の拡充として、合併前の補助制度を統一し、内容の充実を図ります。空き店舗活用による商店街の活性化も図ります。


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