迎春準備と正月

お正月の準備

 お正月の準備はいつから始めればよいのでしょうか。昔は「事始め」といって12月13日にすす払いをする習慣がありましたが、今はこれを意識することは少ないようです。お歳暮や正月用品の準備、年賀状書きなどに加え、クリスマス祝いなど年末には多くの仕事やイベントがありますので、この日にとらわれることなく、早めに計画的に進めるのがよいでしょう。

年賀状

 年賀郵便の特別扱い制度ができたのは1906(明治39)年、毎年12月15日から受け付けが始まります。指定期間中に投函すれば元旦の消印で元旦に配達されます。喪中の場合であれば、遅くとも12月中旬までに「年賀欠礼」の葉書を出します。喪中にもかかわらず年賀状が届いてしまった場合は、松が明けるのを待って「寒中見舞い」として返札を出すとよいでしょう。
 年賀状は平素の疎遠をわびる機会ともなりますので、心のこもった賀状にしたいもの。パソコンなどで手作りした親密感あふれる賀状も喜ばれます。ふだんからEメールを交換している親しい友人などには、ひと工夫したメールの賀状もいいものです。

餅つき

 正月餅は年神様への供え物。また餅を食べて年齢を加え、新しい年の活力を得るための大切な食べ物です。
 最近は家庭用の簡単な餅つき機が普及、あるいはお供え餅や切り餅までもスーパーなどで買うこともできますが、臼でつくことを大切にしている家族も多いようです。
 正月餅は12月28日につきますが、都合でできなかった場合は30日につきます。というのも29日は「苦」に通じ、31日では年神様への誠意に欠けるため、縁起が悪いとされているためです。最初の臼でお供え用の鏡餅、続いて白餅、最後に豆餅や粟餅などをついていきます。

門松

 門松は、年神様が下りてくる目印に立てるもの。3本の青竹に松を植え込み、梅の枝や笹をあしらったものを12月27日〜28日ごろに立てます。
 最近は、本格的な門松を一般家庭で飾ることは少なくなり、松の小枝に水引や輪飾りをかけたものが主流。また松や梅をアレンジしたリースや、華やかな花に金銀のリボンをあしらった飾りなど、自分なりの感性であらたまった気持ちを表す人も増えています。
 なお、門松などお正月飾りは松の内(関東では7日。地方によっては10日、15日のところもある)に片付け、どんど焼きで燃やします。

しめ縄

 神聖な場所にけがれが侵入するのを防ぐのがしめ繩。しめ飾りや輪飾りなど形や飾る場所など地方によって異なり、付けるものもサカキ、コブ、スルメ、ミカンなどいろいろです。
 縄は新しい稲わらで左縒りにない、縄の太いほうを右側にするのが関東式。飾る場所は神棚や床の間、井戸、便所、氏神、玄関などで、12月27日〜28日ごろに飾ります。

床の間飾り

 床の間は神様を祭る場所。めでたい掛け軸をかけ、中央に鏡餅、向かって右側に屠蘇器、左に生花を飾ります。床の間がない場合は、リビングなどの飾り棚に干支の置き物や扇など正月らしい飾りつけをしましょう。お客様を迎える玄関も同様に飾ると、お正月らしい華やぎが生まれます。

鏡餅

 年神様に供える円形の餅を鏡餅といい、年神様の食べ物として欠かせないもの。名前の由来は昔の鏡に形が似ているためという説が有力です。
 床の間には、三方(丸盆やコンポート、杉板などでも可)に奉書紙や半紙を十字に交差させて垂らし、大小ひと重ねの餅を置き、橙を載せます。床の間以外は半紙に載せて供えます。

大晦日

 1年の最後の晦日なので大晦日といい、おおつごもりや大年ともいいます。
 江戸時代から1年の締めくくりの日に年越しそばを食べる習慣が広まっており、そばのように細く長く生きられるようにとの願いを込めています。もりそばやかけそばなど、食べ方は地域色豊かです。そばを食べたあと、1年のアカ落としの意味で入浴する習慣もあります。

除夜の鐘

 除夜の鐘は、人間の108の煩悩を消すために撞くもの。奈良時代に中国の仏教行事として伝わり、江戸時代に盛んに行われるようになりました。107つ目までを旧年中に、108つ目を新年に撞くのが正しいとされます。

正月

 すべての月と日が単数の奇数で重なるのを重陽といい、これを尊ぶ中国の思想から1月1日は五節句の第一とされ、元旦から小正月(1月15日)までさまざまな年初めの行事を行います。
 これらの正月行事は農耕民族である日本人にふさわしく、年神様とともに新年の数日を過ごすという考え方からきています。

若水

 元旦の朝に汲む水を「若水」といいます。新しい年に新しい水を汲んで生気と霊気をいただき、新しい年の幸福を願うもので、一家の主人や年男が井戸に米と塩を供えてから水を汲みます。これを年神様に供えてから雑煮や福茶に使います。

祝い膳

 若水で顔を洗い、お茶をいただいたあと雑煮をつくります。地方色の濃い料理で、共通するのは餅を入れることくらい
























です。県内に限っても餅の形から、出汁、味付け、具などそれぞれ異なります。地域によっては、元旦の朝は雑煮だけというところもあります。

おせち料理

 おせちとは本来、五節句の料理をさしますが、一般にはお正月料理だけをいいます。保存のきく料理が中心で、材料には縁起物を用いるのが特徴です。たとえば黒豆は黒くマメに(健康に働けるように)、ゴマメは豊作祈願、サトイモやカズノコは子孫繁栄、昆布は喜ぶなど。料埋は四段重ねの重箱に詰め、食べるときに取り分けます。詰め方にもしきたりがありますが、こだわらない家族も増えてきています。

屠蘇

 家族の無病息災を願う祝い酒です。家庭でも、屠蘇散を酒屋か薬局で求め、清酒やみりんに浸してつくれます。
 飲み方は3回に分けて注ぎ、3口で飲み干し、年少者から飲むのが礼儀です。また年始先で勧められた場合は、飲めなくても断らず、まねごとをします。

初詣

 初詣は本来、その年の干支によりもっとも吉とする方角にある神社に参詣するものですが(陰陽道による)、しきたりにこだわらず日ごろ信仰している氏神様や神社に参詣します。また、元旦に限らず松の内までに済ませればよいものです。
 神社では、まず手水を使って手と口を清めて神前に進み、お賽銭をあげ、鐘をつき、2回拝礼し、2回拍手を打ち、もう1度拝礼をします。

年始まわり

 最近は儀礼的なあいさつまわりは少なくなっており、実家や親類、仲人、思師、友人あたりまでで十分でしょう。
 うかがうのは元旦を避け、松の内までに。時間も朝や夜は避けて、午後1〜3時ごろがよいようです。長居は避け、玄関先であいさつを済ませたいもの。
 すでにお歳暮を届けているなら年賀の品は不要ですが、名剌代わりの簡単な手土産を持参するのもよいでしょう。
 もてなす側は、仕事関係者や予告なしの年始客は玄関先での応対でも失礼になりません。家の中に通したお客様は、何組か重なっても同席していただき、紹介して、家族でもてなします。

お年玉

 年神様に供えた餅を、家族や使用人に配ったのが始まりです。今では親や年長者が子どもなどに現金を贈るかたちが一般的。年始のご祝儀なので、目上から目下に贈るのが原則です。
 あまり高額にすると親の負担も大きくなりますので、年齢相応に考え、お金にこだわらず品物のプレゼントもよいでしょう。

七草がゆ

 正月7日の朝に7種の若草を入れた雑炊を食べる習慣が続いてきました。冬に緑色野菜を摂る先人の知恵でしたが、お正月の疲れた胃を休めるためにもよい習慣です。
 七草は、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな(かぶ)、すずしろ(だいこん)。新暦の正月ではこれらを全部摘むことは難しく、買うことになりますが、七草にこだわらず青い野菜を刻んだお粥をいただく家も多くなっています。

鏡開き

 11日に鏡餅を下げ、雑煮や汁粉にして食べる行事で、もともとは武家の風習でした。
 またこの日は、鍬入りという農家の仕事始め。早朝、一家の主人が鍬に加えて松や餅、煮干、昆布、塩などを持って田畑に行き、1年間の作業の安全と豊作を祈願します。大声でカラスを呼び、作付け占いもするので、鍬入りを「烏呼び」などというところもあります。林業の場合は「山入り」、商家なら「帳祝い」といって祝います。

どんど焼き

 14日に下ろしたお飾りや門松などを集めて、その日の夜または15日に燃やす行事です。防火に配慮しながら神社の境内や田んぼなどで行われますが、この火にあたると病気にならない、餅や繭団子を焼いて食べると風邪をひかないなどといわれ、それぞれの地域で特色あるどんど焼きが続いています。

小正月

 元旦を中心とするのが大正月、15日を中心とするのが小正月です。太陰暦の満月の日「15日」が1年の始まりだったことから、新暦でも祝いを続けてきたものです。
 繭玉や餅花を飾ったり、なまはげ、鳥追い、かまくらなどの行事が各地に大切に伝わっており、一般的にはあずき粥をハラミ箸で食べ、この箸を神仏に供え、霜よけのお守りにします。また、この日を女正月ともいい、正月を忙しく過ごした女性の休息日と定めている地方もあります。


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