那須塩原物語

平成の大合併で、那須の玄関口に位置する黒磯市、大温泉地を抱える塩原町、商工業の進展著しい西那須野町で組んだスクラムは大きく強固だ。東北自動車道と東北新幹線の高速交通網は首都圏を身近にし、東北との交流も容易にして市の可能性を広げる。観光地としても全国的にその名を知られている。

見る

 千本を超す桜のある烏ケ森公園と約250本の黒磯公園は桜の名所。寺子の推定樹齢350年の①エドヒガンは枝ぶりが見事で県の名木百選に選定されている。塩原八幡宮の枝が垂れた様子から逆杉と呼ばれる推定樹齢1500年の2本の杉は県内最大級で国指定天然記念物。花は②妙雲寺のボタンがあでやか。初夏にはハンターマウンテン塩原の50種類500万輪のユリが見もの。塩原温泉街に入る区間の箒川渓谷は清流と多数の滝、吊り橋など見どころ満載。塩原ダム湖の上に架かる③もみじ谷大吊橋は全長320メートルで、無補剛桁歩道吊橋としては本州一の長さを誇る。渓谷歩道が整備されており、新緑や紅葉の中で渓谷美を堪能できる。源三窟は長さ40メートルの鍾乳洞で源氏にまつわる伝説がある。標高1200メートルの高所の沼ッ原湿原はニッコウキスゲやノハナショウブなどの山野草がハイカーに人気を呼んでいる。

エドヒガン

エドヒガン

妙雲寺のボタン

妙雲寺のボタン

もみじ谷大吊橋

もみじ谷大吊橋

学ぶ

 木の葉化石園は、約百万年前の塩原が湖だったころの地層断面や、園内で発見された木の葉や昆虫の化石を展示する。市内には明治時代にまつわる史跡が多い。外務大臣の青木周造が1881(明治14)年に農場を開き、別荘として建設されたものが①旧青木家那須別邸。1885(明治15)年に県令三島通庸や農場経営を目指した矢板武や印南丈作などの有志により、灌漑のために那須疏水が開削された。②那須疏水旧取水施設は当時の様子を伝える。大山記念館洋館は元帥大山巌が大山農場内に建てた別邸。また、乃木希典那須野旧宅は明治の軍人乃木希典自らが設計し建てた質素な別邸だ。1990(平成2)年に火事で消失したが復元された。塩原温泉は文豪が愛し、執筆活動も行っている。これらは塩原もの語り館が詳しい。③那須野が原博物館と付属施設の黒磯郷土館、日新の館では、歴史全般を紹介するほか絵画などの企画展や体験教室を開催する。

旧青木家那須別邸

旧青木家那須別邸

那須疏水旧取水施設

那須疏水旧取水施設

那須野が原博物館

那須野が原博物館

 県の北部で首都圏からは約150キロに位置する。2005(平成17)年の平成の大合併で黒磯市と西那須野町、塩原町が合併、人口規模で県内5番目の市の誕生となった。市の半分は観光名所の自然豊かな山岳部が占める。那須火山帯で湯量豊富な塩原温泉郷と板室温泉郷、三斗小屋温泉と県を代表する温泉を持つ。残りの半分は清流那珂川と箒川のもたらす扇状

道の駅明治の森・黒磯

地。鉄道はJR東北新幹線と東北本線、道路は東北自動車道に国道4号、国道400号と恵まれ、新幹線で那須塩原駅から上野まで72分、東北本線で147分、黒磯駅から152分と通勤も可能。酪農も盛んで、生乳の粗生産額は本州で1位、全国でも4位となっている。

遊ぶ

 市最大の観光資源は温泉で、市内各所にある。塩原温泉は806(大同元)年発見と歴史が古い。泉質の異なる11種の湯を持つ温泉街の中心地にできた①湯っ歩の里は全長60メートルの日本最大級の足湯が自慢。歩きながら足つぼを刺激、温泉療養効果を高める仕組み。塩原温泉旅館協同組合には70軒ほどが加盟、温泉街の旅館や入浴施設に割安で入れる1年間有効の「湯めぐり手形」を発行する。17軒の旅館・ホテルが温泉郷を形成する②板室温泉は38度から51度と、ぬるめのお湯が体を芯から温め、薬湯として親しまれてきた。2軒の旅館が並ぶ三斗小屋温泉はランプが灯る秘湯。温泉を味わうには2時間余の登山が必要。ファミリープールやわんぱく広場のある那須野が原公園、アスレチック広場や渓流遊び場、オートキャンプ場のある箱の森プレーパーク、日本庭園や水生植物園のある那珂川河畔公園は親子で楽しめる。③ハンターマウンテン塩原は関東最大級のスキー場。

湯っ歩の里

湯っ歩の里

板室温泉

板室温泉

ハンターマウンテン塩原

ハンターマウンテン塩原

食べる

 市の各団体が参加する市農観商工連携推進協議会は、地域産業の活性化と知名度向上を目的に「那須塩原ブランド」を提唱する。①那須ラーメンは那須塩原の湧水と県産小麦粉を使い、独自技術で風味豊かでコシがある。②自然耕米は化学肥料や農薬を極力抑える。パスチャライズド牛乳は提携農家の良質な生乳を、パスチャライゼーションと呼ばれる加熱処理法で処理。千本松牧場で自家製の牧草などで育てた乳牛から搾った牛乳とそれを生かしたプレミアムアイスクリーム。完熟で糖度たっぷりなのが味恋とまと。標高800メートルから1000メートルで栽培されているのは③高原ほうれん草だ。NASUWINEは地元で収穫した原料で醸造したワイン。ほかに那珂川のヤナではアユ料理が楽しめる。アグリパル塩原や道の駅・明治の森、森林の駅などの直売所では、地元産の新鮮野菜や無添加のりんごジュースや菓子などの特産品を提供する。

那須ラーメン

那須ラーメン

自然耕米

自然耕米

高原ほうれん草

高原ほうれん草

わが街自慢の逸品

巻狩鍋
 源頼朝が「那須野が原」一帯で巻狩を行った史実に沿って、当時の参加者が食べたであろう鍋を想定、現代風にアレンジした。イノブタや地鶏、地元の野菜などを煮立て、しょうゆと味噌で味付けする。2.2メートルの大将鍋などの大鍋で9000人分を豪快に作る。市内の料理店などでメニューに加えているところも。

巻狩鍋

那須塩原ものしり百科

●なすしおばら歳時記
4月 黒磯さくら祭り
8月 那須野ふるさと花火大会(隔年)
9月 塩原温泉まつり
10月 那須野巻狩まつり
11月 那須塩原ハーフマラソン大会

晩翠橋

晩翠橋

●晩翠橋
 国道4号の那珂川に架かるアーチ橋。美しさから現代の名橋百選にも選ばれた。ライトアップもされている。
●那須ガーデンアウトレット
 黒磯板室I C近くに2008(平成20)年にオープン。ブランド店110店舗が出店するほか、地元の農産物や特産品も扱う。
●TEPCO塩原ランド
 水と電気の探検館。電気が作られる仕組みを映像や模型を使って解説する。時報とともにからくり人形が動き出して人気。
●那須塩原出身の著名人+縁の人物
 平山あや(女優)/福田薫(お笑い芸人U字工事)/渋井陽子(マラソン走者)
●姉妹・友好都市
 茨城県ひたちなか市/富山県滑川市/埼玉県新座市


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